WING
ボーイング、1.15億ドル投資のV-22改修新工場が完成
V-22の胴体製造とMV-22のブロック3改修を実施
ボーイングは8月1日(米東部時間)、フィラデルフィア近郊で1.15億ドルを投じて改修してきた35万平方フィートのV-22ティルトローター機向けの新工場の完成披露を米海兵隊、海軍、空軍関係者を招き実施した。新工場ではV-22新規製造機(米海軍、空軍、海兵隊、海外向け)の胴体の製造と海兵隊MV-22既成機のブロック3規格への統一化近代化改修を実施する。
公表写真では既に3機の胴体が生産ラインにあり、改修機も少なくとも1機搬入されている。ボーイングでは新工場の建設の目的について、V-22関係の作業を新工場に集約し、安全性、生産性を改善、環境負荷低減、運営コスト低減を図ったと説明している。
V-22はボーイングとベルの共同事業であり、新規製造ではボーイングが胴体を分担、ベルが主翼、推進機構と最終組立を担当している。その中で最大機数を保有する海兵隊のMV-22は任務即応率、可用率が低いことが問題視されてきた。調査の結果、その原因は部隊要求による小ロットの改修が繰り返され、非常に多くのコンフィギュレーションができてしまい、整備作業、部品補給の面でネックとなっていることが判明した。整備員は覚えることが膨大になり、サプライチェーンでは少数需要の部品を多種類供給することから、部品不足による整備作業の停止が発生している。この解消のため2018年度からCC-RAMプログラムがスタートし、最初のMV-22がボーイングに昨年1月に搬入され、今年は2機が搬入される予定となっている。
※写真=完成、稼働したボーイング・フィラデルフィアのV-22新工場。中央が胴体生産ライン。左右がMV-22改修スペースと見られる(提供:ボーイング)