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日米防衛相会談、日米防衛協力の方向性等協議
エスパー長官「日米同盟は地域の平和と安全の要石」
岩屋毅防衛大臣は8月7日、マーク・T・エスパー米国防長官と防衛省で日米防衛相会談を実施し、日米協力について意見交換した。
国防長官のポストは、ジェームズ・マティス前長官が今年1月に辞職して以来、空席が続き、代行としてパトリック・シャナハン氏が就任していたところ。シャナハン氏の国防長官就任辞退を受け、エスパー氏は6月24日に、まず国防長官代行として就任、7月23日に米国議会の承認を経て、正式に国防長官に就任した。
日米協力の今後のあり方等を議論
日米同盟の重要性と戦略的方向性は変わりない
当日は、安倍晋三内閣総理大臣への表敬を終えて防衛省を訪問したエスパー国防長官を、岩屋大臣は笑顔で出迎え、栄誉礼・儀仗を行った。
会談では、岩屋大臣は冒頭、エスパー国防長官の就任を祝うとともに、米国内で発生した一連の銃撃事件の犠牲者の冥福と、被害者に対し御見舞の言葉を述べた。そして、「日米を取り巻く安全保障環境は、依然厳しさを増している中、日米の防衛当局があらゆる努力、緊密な協力関係を維持することが重要」と強調し、「私もエスパー長官と緊密に連携して日米同盟の強化・発展のために取り組んでいきたいと思う」と日米の緊密な連携を強化していく方針を明かした。その上で、会談では日米協力の今後のあり方、北朝鮮問題をはじめとする地域情勢について、意見交換し、具体的な日米防衛協力の方向性について議論をしたいと述べた。
これに対し、エスパー国防長官は、「国防長官として就任後、初の訪問国として日本を訪問でき大変うれしく思う」と述べつつ、「日米同盟はインド太平洋地域の平和と安全の要石であり、米国のコミットメントは盤石である。私の担当する国防総省のリーダーシップは変わったが、戦略的方向性は変わらない」として、日米同盟の重要性と戦略的方向性が変わりないことを説明。これから訪問するインド太平洋地域の各国に対し、「我々のコミットメントを示したいと思う」と結束の強さを示す方針を語った。
中国を名指しで非難、説得方法の協議望む
拉致問題に関しても、協力を約束
その上で、「全ての国の主権、独立が尊重されるということを重視していく」と述べ、紛争が平和裏に解決されるという保証や、自由かつフェアで総合的な貿易、航行、情報、通貨の自由を含めて、国際法や国際的な規範が守るという価値感を日米はともに慎重な行動をもって守っていくと熱く語った。そして、前述の事項に関して、「中国は残念ながらこれに逆行する様なことを行っている。隣国に対し、威圧的な行動に出て自国の利益を得ようとしている」とし、国際的な公共財を軍事化しようとする行動が見られる。経済的な威圧、知的財産の窃盗、環境問題だ。この中には他国のEEZにも係る漁場を荒らすといった行為も行われている。こうした、中国の行動というのは地域を不安定化させる。これに対抗するために、効果的な方法について、助言あれば伺いたい」と中国を名指しで非難しつつ、隣国を尊重し、国際的な規範、価値感を尊重するように中国を説得する方法について、協議したいとした。
また、北朝鮮に関しては、「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化(CVID)」を目指し、協力するとした。さらに、安倍総理大臣から拉致問題の早期解決に向け協力を要請されたことを受け、「拉致問題の解決のために共に歩んでいくことを約束したい」と述べている。
そして、「日米同盟を強化するために、防衛戦略においてどの様なことが可能なのかを協議したい。地域に対して抑止力を持ち、必要であれば対応する能力を持つために、どの様にしていけばよいか」を会談で協議する方針を明かした。
FMS調達の合理化は引き続き取り組むことで一致
岩屋大臣は在日米軍の地元への負担軽減を要請
〈マーク・T・エスパー米国防長官略歴〉
▼生年月日=1964年4月26日(ペンシルベニア州ユニオンタウン生まれ)
▼学位=ハーバード大学ケネディ行政大学院(行政学修士号)、ジョージ・ワシントン大学(公共政策博士号)
▼略歴=
・1986年:米陸軍士官学校を卒業(歩兵科)。レンジャー課程、空挺降下誘導課程を履修後、第101空挺師団に所属
・1990-91年:湾岸戦争に従軍。その後、3-325空挺大隊戦闘団(イタリア・ヴィチェンツァ)で小銃中隊を指揮した
・2007年:退役。現役として10年、州兵・陸軍予備役として11年務めた
・2010-17年:レイセオン政府関係担当副社長
・2017年:陸軍長官
・2019年:パトリック・シャナハン氏の国防長官就任辞退を受け、7月23日に第27代国防長官に就任
※写真=岩屋毅防衛大臣は8月7日、マーク・T・エスパー米国防長官と防衛省で日米防衛相会談を実施し、日米協力について意見交換した
※写真=両閣僚は、日米防衛協力の方向性等について協議した
※写真=栄誉礼・儀仗の様子
※写真=日米の国旗に対し、敬礼する両閣僚