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成田空港40周年、夏目社長「今後も力強く邁進」
成田山新勝寺が安全祈願、関係者へ護摩札授与
成田国際空港は5月20日をもって開港40周年を迎えた。それを記念して成田国際空港会社(NAA)は40周年記念行事を行い、18日には成田山新勝寺から橋本照稔大僧正を招き、第1ターミナル北ウイングで空港と旅客、航空機の安全を祈祷した。航空安全祈祷会の後、NAAの夏目社長は「この40年を節目にこれから力強く邁進したい。これからも一所懸命努力していきたい」とコメント。安全最優先を大前提に、永久に追求していかなければならないとして、今後とも「安全な空港の運用に努力していきたい」と述べた。
祈祷会では、橋本照稔大僧正が40周年を迎える成田空港の安全を祈祷。さらに大僧正から、関係者として、東京航空局成田空港事務所、成田国際空港航空会社運営協議会、JAL、ANA、NCA、ジェットスター・ジャパン、バニラエア、春秋航空日本、ピーチ・アビエーションに対して護摩札が手渡された。
護摩札の授与が終わると、橋本照稔大僧正は「成田国際空港は昭和53年5月20日に開港されて以来、日本の表玄関として世界の経済発展と、ヒト・モノ・文化の交流において大きな役割を果たしてきた」とあいさつ。さらに続けて、関連企業では利用者の安全・安心を第一に考えつつ「地域と共生する空港づくりを念頭に尽力されている賜」だとして、祈祷会へ参列した約100名の関係者へ述べた。そして、今後とも「航空の安全と、地域環境に配慮した空港づくりに入念されるよう念願する」と話した。
NAAの夏目誠社長はあいさつとして、この40年を節目に力強く邁進するとした上で、集まった関係者とともに「航空の安全を祈願できたことは大変意義深い」と話した。そして今後も「安全な空港の運用に努力していきたい」と述べた。また夏目社長は祈祷会後の会見で、機能強化の取組みの中で、3本目滑走路の整備について地域からの理解が得られたことに「大変ありがたい」とした。航空の安全を基本に「空港づくりは地域づくり」との考えで整備を進めるとし、さらに地域に対して「空港があってよかったと思われるようにしたい」と、機能強化に向けた思いを語った。
成田空港は、1966年7月の閣議決定後、12年の歳月を経て建設。1978年当時は滑走路1本、1つのターミナルビルで開港した。1992年には第2ターミナルビルをオープン。2002年に2本目滑走路が1180メートルで暫定的に供用開始となって、2009年に本来計画の2500メートルに延伸した。さらに、2015年にはLCC専用の第3ターミナルビルがオープンし、利便性や処理能力を飛躍的に向上した。成田空港の2017年度航空取扱量は、発着回数が25.2万回、航空旅客数が約2100万人となった。
謝恩パーティー開催、健やかに育った“難産の子”
夏目社長、世界最高水準の空港目指す
同日、成田空港周辺のホテルで、成田空港40周年を祈念した謝恩パーティーが開かれた。国会議員、国土交通省、千葉県ほか周辺市町、航空関係者など約400名が招待され、盛大に40年目を迎える成田空港を祝った。主催者を代表してあいさつを述べた夏目社長は、1978年5月20日の開港式典で当時の福永健司運輸大臣が“難産の子は健やかに育つ”と述べたことを示した上で、成田空港が「安全を最優先として、重要な社会インフラの役割を担い、昨年7月には航空旅客数が10億人を達成し、さらに10月には貨物取扱量が6000万トンを超えた」と、空港の成長を喜んだ。
また夏目社長は「私たちの歩みはここで止まることはない」と述べ、さらなる成長に意欲を示した。夏目社長は、近年東アジアで激しさを増している国際空港間競争に勝ち抜くためとして、成田活用促進インセンティブなどによって、積極的に路線誘致活動を行ってきたことを強調。成田の「就航都市数は、海外115都市、国内18都市、合計133都市となり、開港以来最大」とし、国が強力に進めている観光先進国の実現に向け、増加の一途を辿る訪日外国人旅客や、2020年東京オリ・パラ大会に対応するため、「ターミナルの全面リニューアル、高い水準でのユニバーサルデザインへの対応、訪日外国人のウエルカム感の演出などを進めていく」とし、満足度の高い、世界最高水準の空港を目指すと説明した。
さらに、今年3月13日の成田空港に関する四者協議会で、成田空港のさらなる機能強化が合意されたことに言及した。そのさらなる機能強化の実現とは、3本目の滑走路を増設、2本目滑走路の延伸、発着時間の拡大。日本のさらなる成長のため「観光先進国実現、地域の今後の発展のために必要不可欠なこと」だと強調した上で、さらに「これもひとえに地域の皆さまのおかげ」だと説明した。夏目社長は続けて、このさらなる機能強化は「日本として地域の将来かかったプロジェクトであり、NAAとしては新たな空港を建設するにも等しい。実現に向けて最大限努力していく」と語った。
あきもと国交副大臣「高まるポテンシャル期待」
森田千葉県知事は地域の声に真摯に対応
謝恩パーティーでは、来賓を代表して、あきもと司国土交通副大臣、森田健作千葉県知事があいさつした。あきもと副大臣は、成田空港が観光立国の礎を担っているとし、さらに日本に成長を取り込むべく、2020年のオリ・パラまでには訪日外国人を4000万人、そしてその10年後の2030年には6000万人を目指していくため「その方向を確かなものにしていき、さらに日本経済、地域の発展に寄与していかなければならない」と成田の使命を強調し、さらなる機能強化によって「ますます成田空港のポテンシャルが高まることを期待する」と述べた。
森田知事は「開港時の悲しいことなど1つひとつ乗り越えて、ここまできた。これこそチーム千葉だ」と、闘争の時代があったことに触れつつ、40周年を祝った。また「羽田と協力して、日本の表玄関をしっかりと守っていかなくてはいけない。地域の声に真摯に耳を傾け、約束したことについてはしっかりと実行していかなくてはいけない」とも話し、地域の考えにも配慮していく必要性を強調した。
※写真=航空安全祈祷会であいさつを述べるNAAの夏目社長