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三菱重工航空エンジン、第6工場拡張でMRO需要対応
PW1100Gは最大月10台、MRO売上高が20年代後半に4割に
三菱重工航空エンジンの島内克幸社長が本紙の取材に応じて、「MRO用の第6工場(愛知県小牧市:三菱重工名古屋誘導推進製作所内)を拡張する」ことを明かした。島内社長によれば、その投資規模は10億円規模。今後1年程度かけて整備する。この第6工場は現在もV2500やPW4000といったエンジン整備を実施しているほか、今後は新たにPW1100G-JMエンジンのMROも担う。需要が旺盛なA320neo搭載用のPW1100G-JMエンジンMROを担うことに加えて、今後は三菱航空機が開発中の「スペースジェット」搭載用エンジンであるPW1200GのMROを担うことになることから、第6工場を北側にやや拡張することを決めた。ちなみに、最も大きなMRO需要が見込まれるPW1100G-JMエンジンについては、「月10台ほどのエンジン整備を行う」体制を整備する。なお、三菱重工航空エンジンは既報のように、三菱重工の長崎造船所内に「新燃焼器センター」を建設するなど、旺盛なエンジン需要への対応を進めているところ。
拡張することを決めた第6工場は、元々はカシオの工場で、それを居抜き物件として三菱重工が取得。現在は三菱重工航空エンジンのMRO工場となっている。ベースがカシオの工場だっただけに、航空機エンジンのMRO作業を担うには一部天井が低く、第6工場の北側を増設して工場の高さを稼ぎ、PW1100G-JMエンジンを中心としたMRO作業への対応を進めていく方針だ。
島内社長によれば、既にMRO事業は売上高の「3割弱を占める」とのこと。PW4000が月に1台ほどのペースで三菱重工航空エンジンに送られていることのほか、A320ceo搭載用のV2500も月に2-3台のペースで搬入されるなど、MRO事業は拡大中だ。これにPW1100G-JMが加われば、「売上高のおよそ4割を占める」とのことで、2020年代後半には売上高の4割をMRO事業が稼ぎ出すとの見通しを示した。
そうしたなかで「優秀な人財を確保することが最大の課題」であることに言及。「MROは人手がかかる作業が多く、高度な技術も求められる」との認識を示し、優秀な人財を如何に集めて育成するのか、更なる事業拡大に向けた大きな課題に直面しているという。
現在は「社内のリソースを有効活用することを考えている」とのことで、三菱重工の他部門などから人的リソースを毎年30名ほど確保しているとのことで、適宜、新卒採用も進めて旺盛なMRO需要などに対応する方針だ。
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※写真=本拠地である小牧の第6工場の拡張を決定。長崎造船所に新燃焼器センターを建設するなど旺盛なエンジン需要への対応を強化する。写真は島内社長