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JAXA、ミサワホームらと南極で住宅実証実験
南極基地建設や月面有人拠点開発目指す
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月26日、極地研究所、ミサワホーム、ミサワホーム総合研究所と共に、極限環境下での持続可能な住宅システム「南極移動基地ユニット」の構築を目的とした実証実験を、南極・昭和基地で2020年2月より実施することを明らかにした。ユニットは既にミサワホーム名古屋工場で制作しており、11月には東京港でコンテナに積込み、南極船「しらせ」で昭和基地に向けて輸送する。来年1月には昭和基地に到着し、2月から9月にかけて昭和基地内で実証実験を行う計画だ。
南極移動基地ユニットは、年間の平均気温が-10.4℃、最低気温-45.3℃、最大瞬間風速毎秒61.2メートルもの環境に耐える必要がある。そのサイズは約6100ミリ×2500ミリ×3050ミリ。その床面積は約11.82平方メートルで、ユニットを2基連結することにより、床面積約32.88平方メートルにまで拡張することができる。鉄骨ユニット構造と木質接着複合パネル(厚さ120mm)構造で、外壁材はガルバリウム鋼板、太陽光発電モジュールで構成。ユニットには居住者の安全見守りセンサーなどを搭載するほか、下部にはコンテナ輸送用に使用するソリを装着することができるようにする。
実証実験では構造物の柔軟な拡張・縮小の検証のほか、エネルギー利用の最適化検証、そしてセンサーを用いたモニタリングを検証する。
構造物の柔軟な拡張・縮小を検証する実証では、構造体に開口部や換気設備、電気配線、内・外装材、太陽光発電モジュールなどを予め装備したユニット2基を設置場所で連結。その間にジョイントスペースを設けることで居住空間を拡張する。その後1基ずつのユニットへ縮小する作業を行う計画だ。その際の施工の簡易性や今回のために開発した施工治具、作業支援センサーの南極での実効性について検証することにしている。
※画像=南極移動基地ユニットのイメージ(提供:ミサワホーム)
※画像=下部にソリを装備して移動することができる(提供:ミサワホーム)
※画像=南極という極限環境で実証することで将来の月面有人基地などでの技術応用を目指す(提供:ミサワホーム)