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航空局20年度概算、災害対策手厚く368億円増
羽田アクセス鉄道整備へ調査、グラハン体制強化も
国土交通省航空局が発表した2020年度概算要求は、航空局分の要求額が前年度比368億円増の4517億円となった。歳入は一般会計からの受入れとして110億円増の870億円、空港使用料収入が126億円増の2499億円、雑収入等が132億円増の1148億円となる。歳出では特に、一般空港等が前年度を大きく上回り、主に一般空港を対象とした災害対策を手厚く行っていく考えを示した。
2020年度概算要求では、羽田空港の新飛行経路に必要な施設整備など主な整備に関する予算取得が一息つき、首都圏空港と地方空港を併せた航空ネットワークの充実を基本方針の柱の1つとして、首都圏発着容量年間約100万回への拡大を目指すとともに、福岡空港の2本目滑走路整備や、各空港での防災・減災対策を去年から引き続き行う。また操縦士を始めとした航空要員の人材確保を重視する。さらにに地上支援業務(グランドハンドリング)の体制強化として、新たに取組みの枠を設けて、供給量の拡大に伴う空港の環境整備に力を入れる。
基本方針の柱、2本目はセキュリティ・セイフティのさらなる向上で、テロに強い空港の実現に向けて、セキュリティレベルのさらなる向上を図る。また無人航空機(ドローン)の航空機衝突防止や、国産旅客機製造の安全性審査、小型航空機の運航に関する安全対策など取り組んでいく考えだ。
基本方針3本目の柱は、航空イノベーションの推進。出入国時の手続き時間を短縮するFAST TRAVELを一層推進し、地上支援業務の省力化・無人化を図る。また、管制空域再編に引き続き取り組むほか、「空飛ぶクルマ」など次世代航空機の社会実装へ向けた環境整備を図る。
羽田、JRアクセス、京急引き上げ線の地盤調査
際内トンネル、来年7月に供用開始予定
航空ネットワークの充実に向けた取組みのうち、羽田空港では去年よりも6億円増となる616億円を要求。うち「新しい日本のための優先課題推進枠」として228億円とする。都心からのアクセス利便向上を図るとともに、拠点空港として機能を拡充する駐機場の整備を行うほか、震災発生後にも機能低下を最小限に留める滑走路などの耐震性強化を計画。さらに安全運航を確保するため、基本施設や航空保安施設などの更新・改良を進める。
アクセス利便性の向上に関する取組みは具体的に、空港アクセス鉄道の整備について着手したいとする。JRでは羽田空港と都心を直結する鉄道整備を開始する計画を示しているが、羽田空港としては地盤調査などを行うための予算を求める。同時に、すでに鉄道が整備済みの京急線では、羽田空港駅に引き上げ線の整備を計画しているところ。この整備に関する調査も行いたいとする。これは全長200メートルほどだが、列車を一時引き上げることが可能になれば、ダイヤの柔軟性が向上するため、増発が期待される。
また、乗継利便性の向上に寄与する際内トンネルは、現在も掘削工事が進んでいて、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される前、7月に供用開始となる予定だ。
成田、3タミの増築へCIQ整備へ
成田空港では35億円減の46億円を求めて、第3ターミナル増築に伴うCIQ施設整備を実施し、それとともに庁舎耐震対策、老朽化した航空保安施設の更新などを行う予定。
第3ターミナルは、利用者の増加のため頻繁に混雑が発生している。そのため成田国際空港会社(NAA)では、同ターミナルの出発・到着動線の分離などを行って、混雑の緩和に努めてきたところ。しかし、今後の需要増加を考えれば、抜本的な増築が必要になる。そのため、2021年度末の完成予定で、隣接する第5貨物ビルの改修を行った上で連接し、第3ターミナルの増築を行う予定。そこで増築に伴ったCIQ施設の整備を行うこととしている。
関空・伊丹は航空保安施設更新
中部は引き続き航空需要を調査
福岡2本目滑走路整備、25年3月末完成予定
那覇は20年3月末供用、ターミナル整備で混雑緩和
訪日誘客支援空港の区分など見直し
グラハン車両導入など支援
操縦士・整備士の育成へ、環境改善など
LLP活動推進へ、各社運航規定など調査
広島の民営化へ運営委託など検討
オリ・パラ後も高度な保安検査機器へ更新
小型機・無人機安全対策推進
空港除雪の省人化など検証
空飛ぶクルマ社会実装へ環境整備
税制改正へ成田会社固定資産軽減特例措置廃止
※写真=航空局の2020年度概算要求がまとまった。その額は前年度比368億円増の4517億円に