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2019.08.29

WING

防衛省、陸型イージス地元再説明まで6.5ヵ月必要

秋田側候補地19ヵ所で航空レーザ測量実施へ

 防衛省は8月28日、イージス・アショア配備に向けた地元向け説明を再度行うに当たって、秋田県・山口県それぞれの準備作業を発表した。特に秋田県では、最適地とする新屋演習場以外の候補に挙がったほかの国有地を新たに検討し、新屋演習場と比較した総合的な評価を行う。検討の一部を部外委託するため、今後入札公告など、必要な手続を予定。検討結果は部外専門家が検証するとして、契約手続を含め約6.5ヵ月の期間が必要になることを示した。
 イージス・アショア2基の配備は、2018年6月から数回にわたって秋田県・山口県の地元へ説明を行ってきたところ。地元は候補地検討のプロセスについて説明を求め、防衛省側もこれに応じた。しかし、ほかの候補地のデータで誤りが発覚。レーダーを遮蔽する山の高さを間違えて計算したため、選定の基準となっていた遮蔽角が実際よりも急角度となった。さらに地元説明で、防衛省職員が居眠りしたことで、地元が反発。防衛省では候補地すべての現地調査を行った上で、地元から理解と協力が得られるよう、改めて説明を行うとした。
 新屋演習場以外のほかの国有地は18ヵ所で、弘前演習場を含めると全19ヵ所になる。それら国有地で測量を実施して、周囲地形の正確な標高を把握した上で、レーダーを遮蔽する山の遮蔽角を算出。この角度を踏まえて、遮蔽条件の評価を行う。測量には航空機からの航空レーザ測量を実施。ほか19ヵ所はもちろん、最適地としている新屋演習場でも正確なデータを算出して、全候補地を検証する。
 さらに選定条件に含まれるインフラ条件の評価も改めて実施する。国有地18ヵ所と弘前演習場で、配備する場合に必要なインフラの整備、特にアクセス道路の必要性を具体化する。さらに保安林の代替措置、津波対策に関するコストや降機なども含めて検討する。この調査では、アクセス道路や電力確保について、ルート、工期、コストなど、道路管理者や電力会社と調整を図る。また保安林の指定解除のための代替措置や必要な工期、コストなどの検討を行うことに加え、津波対策についても同様に検討する。また、新屋演習場では、県道の付け替え工事を実施する場合について、必要なコストや工期を検討するとしている。

 

山口は西台の正確な標高調査、再説明まで約2ヵ月

 

 山口県およびその地元に向けた再説明については、最適地としているむつみ演習場の北西にある西台の標高を正確に把握するため、現地での測量を実施する。こちらの再説明は、契約手続含め約2ヵ月の期間を要するという。以前の地元向け説明資料では、西台の標高にわずかな誤差が生じた。そのため、正確な標高を現地調査によって把握することで、地元へ精確な調査結果を示すこととしている。
 西台の測量は、秋田側と同じく航空レーザ測量を実施する。西台の最も高い場所を特定して、配備したときのレーダーと西台間の遮蔽角を算出する。この測量も部外委託によって実施する。今後、契約に向けて入札公告など必要な手続を行う予定。さらに調査結果を部外専門家による検証を含めて、丁寧に説明を行うとしている。

 

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※写真=今後取得するイージス・アショアのレーダー部分(提供:防衛省)