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CH-148サイクロン艦載ヘリの運用試験がAHS表彰
シーステート6までの荒天下運用実証、今年より部隊配備へ
シコルスキーはこのほど、カナダ国防省と同社のCMHP(Canadian Maritime Helicopter Project)合同試験チームが、AHS国際協会より、今年から部隊配備予定のCH-148サイクロン艦載ヘリコプターの8年間にわたるカナダ艦との艦載運用実用試験の結果、シーステート6(波高6メートル、風速63メートル)の悪天候でも運用可能なことを実証したとしてHAS国際賞を受賞したことを明らかにした。
CH-148サイクロンはシコルスキーS-92の軍用型で、カナダ軍ではCH-124シーキング艦載ヘリの後継に選定、2018年度より代替更新の予定。シコルスキーは2021年までに合計28機のCH-148をカナダ軍に納入する。
同機はホーミング魚雷2発を搭載して対潜任務にも当たる多用途艦載ヘリで、情報収集などの任務も行う。2010年から開始された艦載試験は、特に荒天下での運用に重点をおいて、毎年最も海の荒れる12月から3月に合計5回ノバスコシア沖の海域で実施された。カナダ海軍のハリファックス級フリゲート艦「モントリオール」または「ハリファックス」にCH-148を搭載し、飛行時間は累計270時間、着艦回数はのべ975回に達した。着艦拘束・移送(RAST)システムの機能確認、完全フライ・バイ・ワイヤ飛行制御システムによる強風下での正確なホバリングの確認などが行われた。その他、艦上格納庫収納のためのローターとテールパイロン(尾翼)の自動折りたたみ機能確認、空中ホバリング給油、魚雷搭載、艦艇間補給などの実証が行われた。これらは夜間に暗視ゴーグルなしでも実行された。
CH-148の開発期間は10年間に及び、総飛行試験時間は2800時間に達する見込みで2019年に開発完了の予定とされる。
民間大型輸送ヘリとして開発されたS-92を過酷な海上運用するために、長期にわたる試験を計画したカナダ国防省の慎重で徹底した方針には驚く。一方、海上自衛隊では退役して久しいシーキングを現在も運用しているカナダ軍にとっては待望の次期艦載ヘリの誕生と言えるだろう。また、シコルスキーは米ロッキード傘下の米国企業であるが、カナダ軍と密接に協力して、艦載ヘリとして仕上げることになった。AHSによる国際賞は、ヘリコプタ-の国際協力に著しい貢献があったことを評価して贈られるという。
※写真=荒れた海上でフリゲート艦「モントリオール」からのホバリング空中給油を行うCH-148サイクロン(提供:シコルスキー)