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2019.09.02

WING

経産省概算要求、19年度当初比15.1%増の1兆4292億円

電動航空機は倍の15億円、次世代複合材創製に新規18.5億円

 経済産業省が発表した2020年度概算要求額は、2019年度当初予算に比べて15.1%増加した1兆4292億円となった。このうち産業技術関係予算(科学技術関係予算)は7799億円を要求。2019年度当初予算の6918億円に比べて、およそ12.7%伸びる計算だ。産業技術関係予算のなかで、Society5.0を実現する研究開発、社会課題の解決に向けた革新的技術開発などとして、次世代電動航空機に関する技術開発事業に15億円を要求。これは今年度の当初予算比で倍増以上の要求額となった。さらに、新規で次世代複合材創製技術開発事業に18億5000万円を要求した。
 概算要求額が倍増する次世代電動航空機に関する技術開発事業には、新たな産業に成長させるべく経済産業省は注目している。経済産業省は電動航空機市場を獲得するため、電動航空機のコア技術および電気推進システム技術の開発を行い、2030年以降に市場投入予定の次世代航空機に必要な技術を世界に先駆けて実証することを目指す。
 ボーイングが開発した737MAXの後継機やエアバスのA320neoの後継となる単通路機の開発においては、更なる電動化が進むものと予測されている。いずれも2030年代に市場投入されることが予想されている。
 日本は自動車産業においてハイブリッドや電気自動車の開発を進め、世界市場で確かなポジションを築いてきた。モーターや電池などの分野で強みを有する日本の自動車産業の企業たちは、虎視眈々と航空機産業への進出を狙っているところ。
 経済産業省はこうした動きを後押しすべく、日本企業とボーイングの「出会いの場」創出に向けた電動航空機ワークショップを今年7月に開催。さらには、従来から開催している日エアバスワークショップのほか、今年6月のパリ国際航空ショーでは仏民間航空総局(DGCA)との間で、搭載装備品の日仏間の取引拡大に向けた覚書を締結し、欧州企業との間でも、電動航空機分野での企業間の提携深化を模索している。

 

次世代複合材開発、将来機開発をターゲットに

 

新構造材料の技術開発に38億円
構造材の機能向上や高性能材の開発に

 

ロボ・ドローンの社会実装に44億円

 

ドローンなど移動体設置可能な太陽光発電開発

 

バイオジェット、微細藻類培養実証に45億円

 

衛星データ利用促進などで18億円要求

 

 

※画像=経済産業省は次世代の電動航空機開発に向けて予算要求額を大幅に増やした(提供:JAXA)

※画像=空飛ぶクルマに代表されるeVTOL機開発にも航空機の電動化技術を活用。電池やモーターなど、日本企業が得意とする技術開発を加速する(提供:経済産業省)