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2019.09.09

WING

東芝、ミリ波レーダーで衣服の下の危険物を検知

空港等のウォークスルー式警備システム構築に貢献

 東芝は9月5日、ミリ波レーダーを使って衣服に隠れた危険物であっても高精細に可視化する電波イメージング技術を開発したことを発表した。同社によれば、駅の改札や空港の保安検査場などの公共スペースで通行者の流れを止めない新たな警備支援サービスに適用することができるという。この技術を使えば、例えば駅や空港、ショッピングセンターなどの公共スペースにおいて、立ち止まり検査を必要としないウォークスルー方式で危険物の検知が可能となる警備システムを構築することが可能としている。なお東芝は、この技術の詳細をパリで開催される国際会議IRMMW-THzで9月6日午前11時(日本時間:9月6日午後6時)に発表した。
 近年、不特定多数の人が集まる公共スペースで刃物・銃・爆発物を用いたテロや無差別殺人事件が相次いでいる。一般的なセキュリティ強化策として監視カメラ配備が進んでいるが、犯人が凶器を衣服の中に隠し持つ場合の検知はほぼ不可能だ。高度なセキュリティが要求される空港の保安検査場などでは、検知器と検査員による検査が行われているが、人件費や設備導入費用などのコストが高く、多くの人が利用する場所で通行の妨げとなるため利便性の低下が避けられない。このため、公共スペースにおいて利便性を損なうことなく、テロリストや不審者を検知して警備を支援する高性能・低コストの検査システムの実現が望まれている。
 そこで東芝は、自動運転や衝突防止で高性能化・低コスト化が進む車載ミリ波レーダーに着目し、ミリ波が衣服は透過する一方で、銃やナイフで使用される金属は反射し、爆薬などの粉体は吸収する性質を利用して、高精細にイメージングする技術を開発した。面状に配置したアンテナがミリ波レーダーによる反射信号を捉えてイメージング画像を生成する。

 

※画像=ウォークスルー方式の検査装置のイメージ(提供:東芝)

※画像=開発した技術の測定方式(右)。必要アンテナ数を激減できる(提供:東芝)

※画像=互いに虚像を消す2種類の間隔での測定方式(提供:東芝)

※画像=衣服の下のモデルガンを検出(提供:東芝)