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ボーイング、空自向けKC-46Aタンカー組立スタート
2021年納入へ、エバレットに主翼スパーが登場
ボーイングは9月17日(米ワシントン州現地時間)、航空自衛隊に納入するKC-46Aタンカー初号機の組立作業を開始したことを発表した。組立を開始した初号機は現在、ワシントン州エバレットにあるボーイングの767型機組立工場において、主翼スパーの設置を完了した。米国外でKC‐46Aを導入するのは日本の航空自衛隊が初めて。ボーイングは2021年にも航空自衛隊への引き渡しをスタートする計画だ。
ボーイングは2017年12月22日、対外軍事有償援助プログラム(FMS)の一環として、防衛省からKC-46Aおよびロジスティック支援を2億7900万ドルで契約したことを発表。2018年には追加受注しており、現在防衛省は計2機のKC-46Aを発注中だ。
KC-46Aの母機は民間航空機で抜群の信頼性を誇る767型機。全長50.44メートル、全幅47.57メートル、全高16.10メートル。最大離陸重量が約188トン、最大搭載燃料は21万2000ポンド、速度性能は時速約930kmで、航続距離9400kmを有する。最大輸送人員は最大104名で、貨物搭載量は約30トン、人員・貨物を混載することが可能な能力を持つ。その搭載エンジンは767型機で使用しているものと同型のPW4062を採用。その推力は1基当たり6万2000ポンドで、発電機能力も強化した120kVAだ。
また大型の輸送機のように大規模な飛行場を基地にする必要がなく、地上で旋回する際には半径129フィートほどで済むことから、幅148フィートの滑走路があれば、180度旋回することが可能。コクピットもボーイングが開発した787ドリームライナーと同じく、15インチの大型ディスプレイを搭載。767型機と同様の飛行特性を有していることから、その操縦は容易だ。
2種類の給油方式有するKC-46A
前方展開も想定し中程度脅威環境で運用可能
完全な隠密飛行や電磁パルス攻撃対応なども
※写真=2021年の引き渡しに向けてKC-46Aタンカーの主翼スパー(提供:ボーイング)
※写真=航空自衛隊が導入するKC-46Aタンカー。写真はF-35Aへの空中給油実証に成功した際のもの(提供:ボーイング)
※写真=エバレット工場にあるKC-46Aの艤装ライン。今年3月に本紙撮影
※写真=航空自衛隊向け初号機全容がその姿を現す日も近い