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2019.09.27

ウイングトラベル

今年の海外旅行者2000万人は韓国の動向次第

JATA越智事務局長、3フェーズで韓国市場盛り上げ

 日本旅行業協会(JATA)の越智良典事務局長は9月26日の会見で、今年2019年の日本人海外旅行者数2000万人達成の見通しについて、「韓国市場をどう読むか」として、今後の韓国の動向次第との見方を示した。韓国は、2018年に約295万人が訪韓したボリューム市場で、8月までの訪韓日本人数は前年比プラスで推移しているものの、9月以降の動向が注視されている。越智事務局長は、韓国の落ち込みを最小限に抑えられれば2000万人になんとか到達できるのではないかとの見方を示した一方で、「今年の着地点だけでなく、長期的に韓国をどう盛り上げていくかが大事」として、JATAとしては3つのフェーズで取り組んでいく姿勢を示した。
 まず、年内については「今の厳しい環境から、年内一杯はネガティブメッセージを消して、プラスメッセージの発信に傾注する」として、どのようにメッセージを発信していくかについては関係各所と相談中とした。既に政府間では、仁川で開かれた日中韓観光大臣会合で観光による相互交流の重要性を確認した共同声明を採択、日韓間の個別会談でも双方向交流の促進に努力することで一致しているが、民間としても歩調を合わせてメッセージを発信していく必要があると強調した。

 

 トーマス・クック破綻、訪日手配で一部影響か
 「変化への対応」なければ生き残れない

 また、会見では、9月23日に全ての営業を停止し破綻した近代ツーリズムの祖であり英国大手旅行会社のトーマス・クックについても質問が出た。越智事務局長は、「まずは我々の顧客がトーマス・クックグループで現地手配を行っていないか調べたが、ない。逆にインバウンドでは、訪日企業を中心に調べており、まだ正確にはわからないものの、一部あるとの情報もある。ただ、社会問題になるレベルではない」として、影響は非常に限定的とした。
 また、近代ツーリズムの祖でありパッケージツアーの開拓者であるトーマス・クックが破綻したことについてコメントを求められると、「OTAが伸びてきて、どう対応するのか、環境の変化にどう対応するのかは、常々話している」とした上で、「変化に対応していかなければ、どんなに有名な会社でも倒産するという自明の理が証明されたということ」として、変化への対応が必要との見解を改めて示した。

 

※写真=会見する越智良典JATA事務局長