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NAA田村社長、中国線中心に100便以上の就航要望
羽田増枠かなりの影響、北米へ戦略的マーケティング
成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は9月26日の会見で、羽田空港の増枠によるいわゆる“成田離れ”に対する路線誘致施策について、特に中国路線の増便が期待できるとした。今のところ「中国路線を中心に就航要望は100便以上いただいている」と話し、中国方面を主としたネットワークの維持・拡充に期待感を示した。また、大幅に便数を減らす可能性の高い北米線について、2020年度は「かなり影響を受けると思っている」と述べ、北米線のみならずほかの路線についても「戦略的にマーケティングを行っていかなくては」と、路線の獲得を目指す構えだ。
これまで成田空港は、羽田空港の増枠のタイミングでの路線移設によって、NAAのバランスシートにも多大な影響が表れたこともあった。田村社長は2020年夏ダイヤの羽田増枠でも、同等以上のインパクトが想定できると説明した。実際にデルタ航空では、2020年夏ダイヤから成田線を廃止することを決定した。
しかし他方で、中国線は制限の緩和が進み、拡充が期待できるという。冬ダイヤでの就航に向けて、最終的な調整を行っているところだが、中国路線での就航要望は100便以上にも上るとして「そういったチャンスは活かしていかなければいけない」と述べた。さらに、ほかのアジア地域でも就航要望があるとして、アジア・中国でのネットワークの拡充が期待できるとのこと。また、もう少し先を見れば、前回の羽田増枠時には大きなインパクトがあったものの、成田空港では2年目以降に路線を取り戻した経緯があった。「そういう意味で、少し先を見てさらにネットワークが維持拡充できるよう対応していきたい」と、2020年以降の拡充に力を入れる考えだ。
また田村社長は、一般にオリンピック開催国は、開催年に旅客数が横ばい、ないし微減になっている状況だと説明した。開催国が決まると、その国の旅客数が急増する。しかし開催年には一旦踊り場を迎え、その翌年から再度急上昇する傾向が強いという。これは、一般の旅客は「開催期間に宿泊料金が高くなってしまう懸念から、遠慮する傾向がある」ため。2020年に見据えるのは、大会の開催を通じた各国メディアへの露出であり、日本への関心が高まるので「実際に日本へ足を運んでいただくような機会にしなければいけない」と述べた。そのため2021年から飛躍していくことになるとして、成田空港では2020年までに使いやすさを高めていく必要があり、エアラインに対するマーケティングを強化しなくてはいけないという。
成田空港では、インバウンドの取り込みのため、「わざわざその空港に寄って、乗り継いでいくような需要を取り込んでいく」必要があり、NAAとして利便性、快適性、旅客体験などを勉強していく。その上で、成田の周辺地域にもまだ十分にインバウンドを取り込めていない現状があるため、東京以外の関東地域でデスティネーションとしての魅力を高める必要があるという。そこで田村社長は、観光は自治体などが行うよりもNAAが主体的に関わって客の流れをつくることが必要であり「NAAが観光地経営にも関与していく姿勢が必要になってくるだろう」と、観光分野にも意欲を示した。
8月は発着・旅客とも過去最高を記録
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利便性向上に期待、店舗・アクセスも深夜対応
アクセス改善に社内体制強化
災害時に滞留者発生させない対応、情報提供改善も
27日から環境影響評価書の縦覧・公表開始
※写真=会見に応じるNAAの田村明比古社長