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川崎重工、宇宙ゴミ除去で岐阜に地上局開設
来年度実証衛星打ち上げ、25年度にサービス開始狙う
川崎重工は10月4日、岐阜工場にスペースデブリ(宇宙ゴミ)を除去する衛星に司令を送る地上局を開設した。同社は来年打ち上げ予定のイプシロン5号機に、同社が開発中の宇宙ゴミ除去実証衛星を搭載する計画で、この実証衛星を使って宇宙ゴミへの「接近」、「観察」、「捕獲」といった技術を獲得することを狙う。川崎重工では来年度以降も宇宙空間における実証を実施することを予定しており、2025年度から宇宙ゴミ除去サービスを事業として展開することを目指す。川崎重工防衛宇宙プロジェクト本部宇宙システム計画部の久保田伸幸部長によれば、この宇宙ゴミ除去サービス事業を展開する2025年度には、現在50億円ほどの宇宙関連売上高を「100億円ほどにしたい」と、およそ2倍規模の事業規模へと成長することを目指す方針だ。
航空宇宙システムカンパニーの下川広佳プレジデントは「これまでフェアリングを中心に事業を展開してきたが、デブリ除去衛星に参入することによって、新たなビジネスが広がることを期待している」とコメント。宇宙事業の広がりとしては、「衛星サービス事業として、故障した衛星を遠隔で小型衛星を使って修理したり、燃料が切れた衛星に燃料を補給するなどのビジネスも考えられる」ことに言及。その他にも「衛星から入手する大量のデータを利活用し、(データを)解析することで色々なところに転用していく」など、川崎重工の宇宙事業拡大に向けて様々な宇宙事業の展開を検討していることを明らかにした。その上で、「そうしたことをベースに、航空宇宙システムカンパニーの将来の柱となるように、宇宙事業を拡張していきたい」としている。
人類が汚した宇宙空間、10cm以上の宇宙ゴミ2万個
自然衝突や衛星破壊実験で増殖し続ける宇宙ゴミ
除去サービスのターゲットはロケット第二段
ゴミ除去を如何に効率・安価に行うことができるか?
地上局、アンテナは仏サフラン製
運用空き時間使ったアンテナシェアリング事業も
※写真=岐阜工場の総合ビル屋上に設置された宇宙ゴミ除去衛星用の地上局アンテナ。下川プレジデントは宇宙事業を同社の新たな柱に成長することに目指す方針だ
※写真=新総合ビル8階部分に開設されたテレメータ室