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IATA8月旅客輸送、旅客需要は前年比3.8%拡大
緩やかな成長記録も長期トレンドを大きく下回る
国際航空運送協会(IATA)は10月10日(ジュネーブ現地時間)、8月の世界の航空旅客市場動向を発表した。それによると、旅客需要を示すRPKは前年同月比3.8%拡大。これは前月の7月のRPK成長率3.5%を上回る数字となった。一方、座席供給量を示すASKは前年同月比3.5%増加しており、平均搭乗率は0.3ポイント伸びた85.7%となった。これは単月ベースで過去最高の平均搭乗率となった。
一見すると、堅調な需要の伸びにみられるが、IATAは「成長率は長期トレンドを下回るものだ」(IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEO)と警鐘を鳴らす。これは「2016年から2018年第1四半期にかけて見られる年間約8.5%の成長率を大きく下回っている」とのことで、成長率は明らかに鈍化しているためだ。
旅客需要の伸びが鈍化している理由は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題などといった世界に広がる”不確実性”が主な要因。こうした世界に散見される政治的な要因が、航空業界の成長を鈍らせており、とりわけ世界の航空貨物市場は低迷。出口の見えない長いトンネルの真っ只中にあって、2008年の金融危機以降、最長の前年割れ実績を更新し続けている。
IATAによると、8月の国際線旅客需要は昨年8月に比べると3.3%増加。前月の7月には対前年比2.8%の伸びに留まったが、そこからやや回復した様相だ。ラテンアメリカ地域を除いた他の地域では需要が拡大しており、なかでもアフリカ地域の需要拡大が好調だった。国際線のASKは2.9%増加しており、平均搭乗率は0.3ポイント伸びた85.6%だった。
※写真=8月の世界の旅客需要動向は緩やかな伸びが続いた。米中貿易紛争や英国のEU離脱問題など不確実性が多く長期トレンドを大きく下回っている