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2019.10.11

WING

鉄道計画運休、国交省は「取りまとめ」更新で対応強化

最強台風接近に警戒感、空港アクセス事業者とPTB連携を要請

 非常に強い勢力を維持したまま関東地方に接近中の台風19号に、国や航空会社、鉄道各社が強い警戒感を持って臨んでいる。国土交通省鉄道局は10月11日、台風19号における計画運休に向けて、今年7月に取りまとめたばかりの「鉄道の計画運休の実施についての取りまとめ」を更新。先月9日に台風15号では鉄道各社の行った計画運休で交通が大混乱に。今回の台風19号では、更新した「鉄道の計画運休の実施についての取りまとめ」を踏まえた対応を講じるよう、鉄道事業者に周知を図っている。
 今回の「取りまとめ更新」のうち、台風15号で成田空港が「陸の孤島」と化した教訓を踏まえ、空港アクセス線を有する鉄道事業者に対しては、計画運休の実施や運転再開などに際して、旅客ターミナル施設事業者などと連携して、利用者の誘導や情報提供を適切に行うよう要請した。
 その他、計画運休から運転の再開にあたっては、確認作業を効率的に実施するために必要な箇所への要員・資機材の配置など事前準備の強化に努めることや、運転再開について利用者に対しては被害の具体的な状況や点検・復旧作業の進捗状況などをきめ細かく情報提供し、利用者自らが行動を選択できるような情報発信に努めることが重要であることも強調した。
 さらに運転再開時には、利用者が駅に集中する一方、列車本数は十分に確保されていないことから、駅での入場規制等の混乱が発生することが想定されるため、路線の状況に応じた情報提供に工夫する必要があるとも指摘している。
 また、国土交通省としては、計画運休及びその後の運転再開に関する社会的理解の醸成にも努めるべきだとして、運転再開後は輸送力が限られることなどから、鉄道事業者の取り組みと合わせて、利用者側による輸送需要を抑制する取り組み(テレワーク、時差出勤など)も重要であることについて、地方自治体、経済界、教育機関、報道機関などとも広く連携して、社会的な理解の醸成に努めていく方針だ。

 

航空各社、12日に国内・国際線で大量欠航
台風一過の13日も機材繰りで欠航・遅延も

 

 台風19号は10月7日~8日にかけて、台風の養成所として知られる魔の海域である海水温の高いマリアナ諸島付近で急速に成長。「スーパー台風」と呼ばれるクラスにまで発達し、日本に向けて北上している。
 そうしたなか航空各社の対応も既に固まりつつある。大手航空会社のうち全日空(ANA)は10月12日の羽田・成田空港の国内線全便の欠航を決定。国際線についても、一部の深夜・早朝便を除き、欠航することを決めた。
 さらに、国内線では中部、伊丹、関西空港の国内線においても一部の便を除き欠航する。13日についても、羽田、成田、庄内、新潟、仙台、福島、能登、富山、小松、八丈島、静岡、中部といった空港で影響が発生する可能性があるとしている。成田・羽田空港を発着する便は、公共交通機関の運行状況により大幅な遅延や欠航などの影響が懸念されるとしているほか、その他の路線においても12日の台風の影響により使用する機材の手配がつかず、欠航や遅延が発生となる可能性があるとして、注意を呼びかけている。
 日本航空(JAL)は既に本日11日から、国内線は中部と伊丹空港に到着する一部の便で欠航が欠航しているほか、中部、伊丹、関西、南紀白浜、宮崎、北大東、南大東の各空港を発着する運航便に、遅延・条件付き運航などの影響が発生する可能性があるとしている。
 台風が関東地方を直撃するとみられる12日には、羽田空港で早朝に発着する一部の便を除き、国内線の羽田・成田・中部・伊丹・関西・仙台・山形・新潟・小松・南紀白浜・徳島・高松・高知の各空港で多数の欠航便を決定。台風が三陸沖へ抜けると思われる13日についても、羽田・成田・中部・伊丹・関西・釧路・帯広・青森・三沢・秋田・花巻・仙台・山形・新潟・小松といった各空港で影響が発生する可能性があるとしている。とくに羽田・成田・中部・伊丹・関西・仙台空港は、台風の影響による使用機手配などにより、遅延・欠航となる可能性があるとしているほか、すでに成田空港に到着する一部の運航便で欠航が決定済みだという。

 

JR東、首都圏各線区で計画運休
成田エクスプレスも昼ごろから運休

 

 JR東日本は10月11日、首都圏各線区の計画運休を実施することを発表した。台風19号の直撃が予想されている10月12日には、湘南新宿ライン、上野東京ライン(上野~東京間)、久留里線の運転を終日見合わせる。その後は段階的に運休線を拡大していく計画だ。また、首都圏特急でも全列車の運行を見合わせるものが大半で、「成田エクスプレス」については、東京発11時03分以降、成田空港発12時20分以降を目処に、運行を取りやめる。
 そのほか、新幹線各線については11時以降、本数を減らして運行し、段階的に運休となる予定だ。
 なお、13日の運転計画は、12日の10時30分頃に発表する予定だ。

 

〈首都圏各線の運休開始予定時間〉
・9時頃~運休=伊東線
・10時頃~運休=東海道線、横須賀線、京葉線、中央本線(高尾~小淵沢間)、相模線、総武本線(佐倉~銚子間)、成田線(我孫子~成田間、成田~銚子間)、内房線(君津~安房鴨川間)、外房線(上総一ノ宮~安房鴨川間)、東金線、鹿島線
 ・11時頃~運休=横浜線、青梅線(青梅~奥多摩間)、八高線を運休
・12時頃~運休=京浜東北・根岸線、中央線(快速)、中央・総武線(各駅停車)、総武快速線、埼京線、川越線、宇都宮線、高崎線、武蔵野線、総武本線・成田線(千葉~成田空港間)、常磐線(快速)、常磐線(各駅停車)、常磐線(取手~水戸間)、青梅線(立川~青梅間)、内房線(千葉~君津間)、外房線(千葉~上総一ノ宮間)、烏山線、吾妻線
 ・13時頃~運休=山手線、南武線、鶴見線、五日市線、両毛線、上越線、信越線、常磐線(水戸~いわき間)、水戸線、水郡線、日光線

 

〈運転を取りやめる首都圏特急〉
・東海道線特急「スーパービュー踊り子」「踊り子」・・・全列車
・中央線特急「あずさ」「かいじ」・・・全列車
・常磐線特急「ひたち」「ときわ」・・・全列車
・特急「わかしお」「しおさい」「新宿さざなみ」「新宿わかしお」…全列車
・特急「日光」「きぬがわ」「スペーシアきぬがわ」…全列車
・特急「草津」「あかぎ」・・・全列車
・特急「成田エクスプレス」・・・東京発11時03分以降、成田空港発12時20分以降

 

《新幹線の最終列車》
〈東北新幹線〉
 〔下り〕
・東京発仙台行=12時12分発 やまびこ 209号
・東京発盛岡行=12時36分発 やまびこ 51号
・東京発新函館北斗行=13時20分発 はやぶさ 23号
〔上り〕
・新函館北斗東京行=9時35分 はやぶさ 16号
・新青森東京行=11時15分発 はやぶさ52号
・盛岡発東京行=11時07分 やまびこ 44号

 

〈秋田新幹線〉
・東京発秋田行=13時20分発 こまち23号
・秋田発東京行=10時07分発 こまち16号

 

〔山形新幹線〕
・東京発新庄行=12時00分発 つばさ137号
・新庄発東京行=09時16分発 つばさ136号
・山形発東京行=10時57分発 つばさ138号

 

〔上越新幹線〕
・東京発新潟行=12時40分発 Maxとき321号
・新潟発東京行=11時19分発 とき318号

 

〔北陸新幹線〕
〈下り〉
・東京発長野行=12時32分発 あさま639号
・東京発金沢行=13時24分発 はくたか565号
〈上り〉
・金沢発東京行=11時45分発 かがやき528号
・長野発東京行=12時27分発 あさま616号

 

※写真=欧州宇宙機関(ESA)が撮影した台風19号(ハビリス)。コペルニクス「Sentinel-3」で10月10日10時(日本標準時)に捉えた。ESAによれば台風の目の直径は約60km(提供:ESA)