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第3後方支援連隊、栃木県佐野市で入浴支援実施
10月15日から21日までの5日間、延べ約400人に
陸上自衛隊第12旅団は10月20日、栃木県佐野市における第3後方支援連隊の入浴支援とそこで支援する第48普通科連隊の即応予備自衛官の様子を報道陣に公開した。
佐野市では台風19号により、市を南北に流れる秋山川で決壊と越水が発生。同川にかかる海陸橋付近で西側(右岸)が決壊したことで、赤坂町、大橋町が浸水したほか、東側の天神町も越水により浸水した。市の南側の船津川町でも土地が低いため水が溜まり、避難所に移る方が多かったとのことで、佐野市全体で1500世帯が浸水した。このため、自衛隊では既報の通り第48普通科連隊が泥の撤去作業を行ってきたほか、第3後方支援連隊が10月15日から21日までの間、被災者に対し入浴支援を行ったところだ。仮設入浴施設は、佐野市天明町の佐野厄除け大師の駐車場を利用しており、夕方17時から夜21時まで開放していたため、開放後は被災者の方が訪れて、疲れを癒していた。
佐野市では1日最大600人の受入態勢整えるも
親戚を頼る、他施設利用等で需要は低く収まる
今回の台風19号による佐野市への災害派遣について、佐野市の防災担当者に話を聞くと、自衛隊の入浴支援は、15日火曜から開始して、平日は約60人前後の利用、土日では約100名ほどの利用があったと実績を述べて、自衛隊との協議の結果、21日の利用を最後に撤収が決まったとした。「佐野市では老人福祉センター等で無料入浴を引き続き行うことから自衛隊の仮設入浴施設利用者はそちらに回ってほしいと案内している」と話す。
自衛隊との間で災害前からの事前の取り決め等があったか聞くと、「事前には無かったが、発災後に県から自衛隊が(対応)出来るということを(伝えられたので)連絡員を派遣し、自衛隊のがれき撤去や泥の撤去、入浴支援の部隊に来て貰い、現場のニーズに応じて展開した。その中で入浴のニーズが伸びていないことから入浴支援は撤退になった」と語る。
夜遅くまで開設する施設は他になく有難い
笑顔で「ありがとう」と言われる事が一番嬉しい
少しでも自衛隊に恩返しをと、災害派遣に志願
被災者の感謝の言葉を励みに過酷な任務こなす
この入浴支援では第3後方支援連隊のほかに、第48普通科連隊の即応予備自衛官で看護師の資格を持つ佐藤2等陸曹も、その資格が活かそうと勤務してした。佐藤2曹は、昼は他の第48普通科連隊の隊員ととも、毎日様々な場所に行き、車両の通行が可能となる様に道路の泥を掃けるといった作業や、水門の泥かきなどを行っているが、専門知識を活かした活動の一環として、各地で医療相談にも乗っているとのことで、今回、佐藤2曹に即応予備自衛官として、実際に勤務してみての話を聞いた。
※写真=入浴を終えて、スッキリとした表情で隊員と触れ合う。「また入りたい」とにこやかに語った
※写真=佐野厄除け大師野駐車場に展開した第3後方支援連隊の入浴支援器材
※写真=仕事を終えて入浴する利用者。夜21時まで開放してくれることから重宝していたと自衛隊の活動終了を惜しんだ
※写真=インタビューに応じた即応予備自衛官の佐藤2曹
※写真=佐藤2曹は日中の業務だけでなく、看護師の資格、経験・知識を活かして医療相談等も被災地で行なった