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成田19年冬ダイヤ、中国線の大幅増で過去最高更新
NAA田村社長、アジア拡充で「北米路線再構築へ」
成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は10月24日の定例会見で、成田空港の2019年冬ダイヤ(2019年10月27日~2020年3月28日)の発着数が期初において、週4914回となって前年同期の過去最高を更新したことを発表。乗入れる航空会社も106社で過去最高になると説明した。この要因は、中国線による大幅な増加。輸送力の制限がかかっていた中国線が大幅に緩和されたことで「成長が著しいアジアの航空マーケットを取り込むことができる」と評価した。成田空港でアジアの就航地を拡大すれば、アジア空港間の競争力が高まるため「北米路線などの再構築に取り組んでいくことができる」と述べた。
定期航空会社による19年冬ダイヤの発着回数は週4914回で、前年同期よりも173回増えて、冬ダイヤとして最大の発着数となった。就航都市数は140都市(海外118、国内22)で、18年冬ダイヤよりも7都市増えて、期初時点で最高の都市数になった。乗入れ航空会社数は106社、7社増加となって過去最高となった。
中国線の発着数は週628回の発着となる。これは夏と比べると、148回も増えることになる。増加分の半分が上海線と北京線になる。田村社長は9月の会見で、冬ダイヤ期間中に週100便ほどの就航要望があると説明したが、そのうち冬期の期初から就航が見込まれるのは週約70便。そのほかにも「相手空港のスロット調整や、チケット販売手続準備などが整えばさらに増えることもある」として期待感を示した。
一方で減少要因の多くを占めたのが韓国線だ。日韓情勢の冷え込みによって、訪日需要に対応した減便や運休など、LCCを中心に便数調整が相次いだ。韓国線の旅客便発着数は週328回となった。19年夏ダイヤよりも120回減少となって、18年冬ダイヤ比較では72回減となる。就航地も、ソウル、釜山、済州、大邱、務安の5都市だったが、務安がなくなって4都市となる。田村社長は韓国線について、大幅な減少となる一方で「冬期中に運航再開、復便の動きもある」と説明。詳細韓国線の動向を注視していく必要があると説明した。
冬ダイヤ最高も「手放しに喜べない」
韓国線は減少へ、20年夏には北米の羽田移設も
国際線発着は189回増の週3944回
中国エア新規乗入れ、貨物航空会社も増加へ
19年冬ダイヤの発着数週4914回のうち、国際線発着数は、特に中国路線を中心とした新規就航・増便による影響のほか、貨物便の新規乗入れによって、前期冬ダイヤよりも189回増の週3944回となる。国内線の発着回数については16回減少の週970回となる。ちなみに、19年夏ダイヤとの比較では、発着回数が29便減となって、国際線としては17便減、国内線は12便減。通例どおり、夏ダイヤよりも便数を落とすかたちで推移した。
旅客便については、国際線旅客便発着数が前年同期比138回増の週3432回となるのに対して、中国線旅客便は160回増の週628回の発着となる。これは日中間の権益拡大によって、航空会社の新規乗入・新規就航・増便が予定されるため。吉祥航空や春秋航空などが乗り入れ、就航路線は上海、北京線といった大都市が主となるという。
※写真=19年冬ダイヤについて説明する田村明比古社長