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2019.11.01

WING

JAL中間期、四半期純利益が30.2%減の512億円に

不透明な政治情勢など影響、国際旅客・貨物事業で影響

 日本航空(JAL)グループが10月31日に発表した2020年3月期の中間決算(2019年4-9月期)によると、国内旅客事業が好調だったことから、グループ連結売上高は前年同期比1.3%増加した7598億円と増収となった。営業費用は来年に控えた羽田・成田空港の発着枠拡大に備えた準備などによって3.9%増加した6785億円(償却方法変更前:6733億円)に拡大。米中貿易紛争による世界経済の減退および各地の政治情勢の影響のほか、第2四半期に入って企業業績を反映するかたちで日本発の高イールドな業務渡航需要が減退したことなどの結果、利益面では営業利益が16%減少した813億円(同:865億円)となり、経常利益は12.5%減少した825億円、四半期純利益は30.2%減少した512億円と落ち込んだ。
 同日、記者会見に臨んだJALの菊山英樹取締役専務執行役員によると、「世界経済の減速によって、国際旅客収入、国際貨物収入などは減収が発生している」ことに言及。その一方、「国内旅客収入は依然として好調を維持している」ことに触れた。
 ちなみに、座席供給量を示すASKは、国際線・国内線をあわせて2.2%増加した464億5900万座席キロ、需要を示すRPKは2.2%増加した363億7700万人キロだった。なお、貨物郵便事業収入は9.3%減少した451億円に留まった。

 

国際線旅客事業収入は1.2%減少
日本発業務渡航需要が減退、欧州や中国線で競争激化も

 

 世界経済の減速や不確定な世界政治情勢などの煽りを受け、JALの国際線旅客事業も影響を受けている。国際線旅客事業収入は1.2%減少した2660億円と減収。有償旅客数も0.5%減少した458万2000人と、わずかながら前年を下回るかたちとなった。
 ASKはシアトル線の開設などによって2.5%増加した280億7200万座席キロと増加。それに対して需要示すRPKは0.9%増加した227億6800万人キロに留まり、有償座席利用率は1.3ポイント減少した81.1%となった。
 菊山取締役は国際線旅客事業について、「とくに第2四半期に入ってから需要面では日本発の業務渡航需要が供給量の増加ほどには伸びていない」ことに触れつつ、「第1四半期においては、欧州系キャリアの供給拡大に伴い、需給バランスが崩れている」ことにも言及した。
 加えて、第2四半期には「9月から中国からのインバウンドの伸びの利用が鈍化してきている」との認識を示し、「中国系キャリアが路線を拡大しているためだ。我々は羽田-上海線が中国線のメインだが、上海近郊の杭州、無錫などといった都市から日本直行便が運航されるようになり、こうしたところで需給のバランスが崩れており、競争が厳しくなっている」ことを明かした。
 「我々としても無策でいる訳にはいかない」として、とりわけ海外発の潜在的な需要の掘り起こしを図ったとのことだが、相対的に単価を落とさざるを得ない状況にあるようだ。

 

国内線旅客事業収入、3.3%増加と好調
利用率74%と過去最高更新、GW10連休など奏功

 

通期業績予想、当初計画比で営業収益470億円減に

 

※写真=世界情勢の煽りを受けて国際線旅客事業や貨物事業などが影響。中間決算を説明する菊山取締役