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2019.11.01

WING

三菱、TSHと100機分のM90契約解消、M100で交渉継続

TC取得テスト機の開発に遅れ、年明けに完成予定

 三菱重工の泉澤清次社長兼最高経営責任者(CEO)は10月31日の決算説明会で、傘下の三菱航空機が開発中のスペースジェットについて、MRJブランド下で獲得したトランス・ステーツ・ホールディングスとの間で締結していた100機分(確定50機、オプション50機)について、その契約を解消したことを明らかにした。泉澤社長は「M100の受注に向けて協議を継続していく」との方針を示した。
 さらに、型式証明取得とローンチカスタマーである全日空(ANA)に来年半ばに引き渡しを行うために開発を急ぐM90については、「TC最終形態の機体開発が遅れていることは事実」だと明かした。このテスト機は「年明けには完成する」見込みとのこと。M90のスケジュールは、これまで5度の遅延が発生した。現在、TC取得に向けて実施するテストの見直しなどを行っている最中だとして、6度目の遅延の可能性には言及しなかった。
 三菱航空機はトランス・ステーツ・ホールディングスとの間で、MRJ100機分の契約について、MRJ90をベースとして、MRJ70に変更することが可能な契約としていた。当初は米国キャリアにおけるパイロット組合との”決め事”であるスコープ・クローズが緩和されるとの期待もあったが、その航空会社と組合の交渉は難航。スコープ・クローズは現在も緩和されておらず、三菱航空機にとっては頭の痛い課題となっていた。
 そうしたなか今年6月のパリエアショーにおいて三菱航空機は新ブランド「スペースジェット」に変更することを発表。90席級のM90と、スコープ・クローズに対応した65席~88席と柔軟に座席数を設計することが可能なM100を打ち出し、市場に再挑戦していた。
 トランス・ステーツ・ホールディングスとの間で以前に締結していた100機分の契約は白紙に戻ってしまったかたちが、それでもM100(65-88席)の「受注に向けて協議を継続していく」考えを示した。
 三菱航空機では、今年6月にM100を発表し…

 

※写真=M90の契約解消について説明する三菱重工の泉澤CEO