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ロールス・ロイス、Trent1000で14億ポンドの追加費用
日本企業にも影響?川崎重工は「現時点で影響不明」
ロールス・ロイスが去る11月7日、Trent1000プログラムにおいて、14億ポンド(約1964億円)もの巨額の追加費用が発生するとの見通しを明らかにした。この追加費用は顧客対応やエンジン・ショップに入るエンジン数が増加することを見込んだ費用とのことで、同社はこの追加費用について、今後10-15年の期間で発生する費用を2019年決算に前倒しで計上することにした。さらに、Trent1000の予備エンジン在庫数を増やすことのほか、MROネットワークを大きく拡充に取り組む方針を示した。これにより顧客の機体が迅速に運航を再開することができるようにすると共に、飛べない機体、つまり「AOG」(Aircraft On Ground)を減少する取り組みを加速することを決めた。
ロールス・ロイスはこれまで、2017年から2023年までの間に合計で24億ポンド(約3369億円)の費用を予想。これはすでに以前に計上済みの16億ポンド(約2245億ポンド)のほか、全Trent1000の推定コスト4億ポンド、Trent1000TENプログラムの4億ポンドの費用も含まれていた。
この24億ポンドについて同社は、2017-18年にTrent1000プログラムで5億5000万ポンド、2019年も5億5000万ポンドの費用が発生するとしており、2020年には4億5000万ポンド~5億5000万ポンド、2021年についても2020年と同様のレベルの費用が発生すると試算している。
今回、ロールス・ロイスが14億ポンドもの追加費用が発生すると試算したことについて、Trent1000プログラムのリスク・レベニュー・シェアリング・パートナーである川崎重工は11月11日、「業績に与える影響については、現時点で不明」と反応。このTrent1000プログラムには、日本航空機エンジン協会(JAEC)の枠組みで川崎重工のほか三菱重工航空エンジンが参画しており、JAECとして15.5%のワークシェアを有している。川崎重工は中圧圧縮機モジュールを、三菱重工航空エンジンが燃焼器モジュールと低圧タービンブレードの製造を担当している。
ちなみにその他にも、IHIがサブコンとして中圧タービンブレードを、プリファード・サプライヤーとして住友精密工業がエンジン熱制御システムの製造を、それぞれ担当している。
イーストCEO、「顧客の信頼取り戻す」と取り組み加速表明
TENの改良HPTブレード、2021年前半まで後ろだおし
AOGを20年第2四半期末までに1桁レベルに
既存サイトなどでMROやテスト能力を増強
※写真=Trent1000で巨額の追加費用が発生。ロールス・ロイスは予備エンジン在庫の拡大やMROネットワークの拡充など、Trent1000の顧客の信頼を取り戻す取り組みを加速する(提供:ロールス・ロイス)