記事検索はこちらで→
2018.05.31

WING

JAL中距離LCC「選択肢広がり市場活性化」

JAL中距離LCC「選択肢広がり市場活性化」

 ANAホールディングスの片野坂真哉社長と全日空(ANA)の平子裕志社長が5月30日に記者会見し、片野坂社長は、日本航空(JAL)が中距離LCC事業を担う新会社を設立することを決定したことについて、「面白いと感じた。間違いなく、お客様の選択肢が広がる。日本のLCCマーケットが活性化するだろう」との見解を示した。さらに今後の日系LCCについて、「国際線のLCCは今後主流になっていくだろう」とし、「欧米でもライアン航空、イージージェット、ノルウェージアン・エアシャトルなどが成長しており、より長い距離を運航するようになっている。アジアでも、こういったLCCが台頭していくだろう」と、中距離LCCが台頭してくるとの見通しを示した。
 その上で、「日本の場合、LCCは成田や地方路線をカバーしている。ANAやJALのようなフルサービスキャリアとLCCはしばらくの間、カニバライゼーションーションなく、共存していくことができるだろう」とコメントした。
 さらに「私たちは6年前にピーチアビエーション、続けてバニラエアという二つのLCCをつくって、成田と関空で活躍している。両社とも黒字が出せるようになっている」との認識を示しつつ、「運航上のトラブル、パイロット不足など、苦い経験もしているので、良いも悪いも6年間の実績を糧に頑張りたい」とし、「油断していると追い抜かれる。先を急ぎたい」と、ライバルであるJALに追い越されぬよう、スピード感をもって戦略を推進していく考えを示した。
 ちなみに、ピーチ・アビエーションとバニラエアは2019年度末を目処に統合。統合後には、国内線と国際線をあわせて50路線以上を保有し、中距離路線に進出する。機材も50機以上を保有する計画で、中距離線に適した機材導入も視野に入れている。20年度の売上高は1500億円、営業利益150億円規模を目標としているところ。

 A380で「ハワイと言えばJALの概念変える」

 ANAが来春、東京−ハワイ線に投入することが決定済みのA380は、エアバスの本拠地・トゥールーズにおいて機体がロールアウトするなど、着々と準備が進められている。導入するANA側でも、客室仕様を決定。「FLYING
HONU」(空飛ぶウミガメ)と名付けられた機体が空を飛ぶ日も、いよいよ間近に迫ってきた感が強まる。
 平子社長は「ハワイといえば、日本航空という概念を是非変えていきたい。そこでこのような航空機(A380)を導入した」と、あらためてコメント。ファーストクラスの導入や、ビジネスクラスにペアシート、さらにはエコノミークラス後方に家族で寝そべることができるカウチシートを導入するなど、随所にANAとして初めての挑戦を盛り込んだことに言及し、「これまでANAは、ハワイ線にとりわけ大きな投資をしている訳ではなかった。乾坤一擲、(A380の導入やホノルル国際空港における独自のラウンジ開設などの)このような取り組みでハワイ線の概念を変えていくと言うことで、勝算を持っていきたい」と、A380を使ってハワイ線のマーケットシェアを変えていきたいとの考えを示した。
 さらに、「これまで(ホノルル線は)90%以上の搭乗率となっている。今現在でも乗りたくてもお乗りいただけないお客様も大勢おられる。(A380でキャパシティを増やすことで)そうしたお客様をしっかりと取り込んでいく」とコメント。「マイレージを使いたくても使うことができない等の潜在需要もあるだろう。さらに、ハワイ線を如何に売っていくのかということでは、宿泊と飛行機を柔軟に組み合わせる商品を造成していくことで、パッケージツアーだけではない旅行商品を導入を促進し、需要を喚起を図っていきたい」と話し、様々な旅行商品の造成で需要喚起を一層強めることで、巨大なA380の座席を埋めていく考えを示した。

 

※写真=ANAHDの片野坂社長。ライバルJALの中距離LCC事業進出に「市場活性化する」と歓迎