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川崎重工、宇宙ゴミ除去事業化向け協業
東京海上と三井物産らと事業性・経済性を検討へ
川崎重工は11月18日、東京海上日動火災保険、三井物産と、宇宙ごみ(スペースデブリ)除去の事業化(事業性・経済性の検討)を目的とする協業を展開することに合意した。川崎重工は同社の岐阜工場において、10月4日にスペースデブリ除去衛星に司令を送る地上局を開設したばかり。2025年度から宇宙ゴミ除去サービスを事業として展開することを目指しており、2025年度には、現在50億円ほどの同社宇宙関連売上高を100億円ほどにまで成長する方針だ。
3社による協業では、各社の強みを活かし、宇宙ごみ除去市場の創出のためのスキーム構築のほか、法整備や国際 協調などの実現に向けた働きかけを行う方針だ。
川崎重工によれば、宇宙ごみ除去の技術やビジネスモデルを応用し、今後10年で市場規模が30億ドル超になると予測される人工衛星向け軌道上サービスとして、例えば燃料補給、修理改修、軌道離脱、救出などの事業性の検討も行うとしている。
川崎重工は来年打ち上げ予定のイプシロン5号機に、同社が開発中の宇宙ゴミ除去実証衛星を搭載する計画で、この実証衛星を使って宇宙ゴミへの「接近」、「観察」、「捕獲」といった技術を獲得することを目指している。同社がターゲットとする宇宙ゴミは、混雑軌道にあるロケットの第2段部分。ロケットの第2段部は大型の重量物で、宇宙ゴミ同士が衝突すれば、小型の破片を撒き散らすなど、影響は大きい。そのため、まずはロケットの第2段部を除去することを目指し、実証を積み重ねる計画だ。
※画像=スペースデブリ除去の事業化検討で東京海上、三井物産と協業(提供:川崎重工)