ウイングトラベル
HIS中間期、売上・営業利益20%以上増収増益
海外M&A貢献、純利益はAAA特損等で3割減
エイチ・アイ・エス(HIS)が5月31日に発表した4月中間期連結決算(17年11月〜18年4月)は、売上高が前年同期比25.5%増の3412億4700万円、営業利益が22.1%増の76億2300万円となった。期首計画は未達であったものの、M&Aで取得した海外子会社の売上高が増加したことや本業の旅行事業が順調に推移したことが奏功した。一方で円高により13億円の為替差損が発生したことやアジアアトランティックエアラインズ(AAA)の債権放棄で16億円の特別損失を計上したことにより、経常利益は25.8%減の78億1400万円、純利益は31.3%減の35億5000万円となった。
事業セグメントごとの業績は旅行事業については売上高が27.1%増の3036億8800万円、営業利益が15.9%増の41億8900万円となった。新たに連結対象となったミキトラベル、ジョンビュー、メリットトラベルの売上がフルに寄与したことや訪日旅行事業の売上高がほぼ2倍増となったことが貢献した。日本発の海外旅行はグアムが減便などの影響により26%の減収となったものの、欧州向け商品の売上高が2割増となり、グアムの落ち込み分をカバーする形となった。
ハウステンボス(HTB)グループは売上高が25.5%増の208億2300万円、営業利益が4.0%減の36億2000万円となった。電力子会社のHTBエナジーの成長で増収となったものの、ラグーナテンボスの入場者数減少とHTBエナジーの燃料コストの増加により減益となった。
ホテル事業は売上高が72.4%増の62億4000万円、営業利益が44.4%増の7億1300万円となった。前期に子会社化した台湾のグリーンワールドホテルグループの売上が大きく増収に寄与した。また、変なホテルの首都圏展開も順調に推移した。
九州産交グループは売上高が3.0%減の108億4500万円、営業利益は43.1%増の3億4900万円だった。売上高は降雪の影響で貸切バス、バス旅行、サービスエリアの売上が伸び悩み減収となったが、営業費用が減少したことにより増益となった。
18年度通期、夏のレジャー需要堅調で増収増益見込む
2018年10月通期の業績について同社は、今中間期で発生したで為替差損やAAAの債権放棄や、ミキグループのオンライン事業システムリリース遅れなどを加味し5月7日に業績予想の下方修正を発表している。ただ、繁忙期である夏のレジャー需要は堅調に推移することが予想されること。さらに新規連結対象となったグループ会社の業績が年間で寄与すると見ていることから、前回の発表通り売上高は前期比18.8%増の7200億円、営業利益は8.7%増の173億円、経常利益は10.9%減の175億円、当期純利益は31.4%減の91億円をそれぞれ見込む。
澤田会長兼社長「世界標準で戦える会社へ」
海外M&A積極展開、システム投資も強化
5月31日に行われた同社の決算説明会では澤田秀雄会長兼社長が今後の事業方針や経営環境について語った。澤田社長は今後の旅行市場について、「アジアを中心に旅行者数が増加しており、今後もこの状況は続く。そうした中でHISは日本をベースとして事業を行ってきたが、今後は世界標準で戦える会社作りをしていく必要がある。そうした中で、M&Aに積極的に取り組んでいくとともに、オンライン化を見据えたシステムへの大型投資が必要であると考えている」と述べた。
HISは2018年度から20年度の3カ年で1500億円の投資を計画しており、M&Aとともにシステムにも積極的な投資を展開していく考えだ。
また、澤田社長は世界を視野に入れていく上で、海外における旅行事業のさらなる強化に向けた取り組みを加速させていく方針を示した。澤田社長は「全世界で勝ち抜いていくためにも、他にはない現地サービスを創出する世界ナンバー1のランドオペレーターを目指していく」と強調。ミキグループ、ジョンビューに続く海外ランドオペレーターへのM&Aを模索していくほか、現地アクティビティや交通機関などサプライヤー領域への参入も視野に入れていく考えを示した。
※写真=2018年度中間決算や今後の方針などを説明するHISの澤田秀雄会長兼社長