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2019.11.21

WING

日ASEANの新ステージ「ビエンチャン・ビジョン2.0」

実施3原則追加、強靭性強化の概念を追加

 防衛省は、去る11月17日にタイで開かれた第5回の日ASEAN防衛担当大臣会合で、日本とASEANとの防衛橋梁を加速化させるべく「ビエンチャン・ビジョン2.0」を発表した。これは2016年に示したビエンチャン・ビジョンのアップデート版であり、新機軸として、1.「日ASEAN防衛協力の実施3原則」、2.「日本とASEANとの関係を明確化する“強靭性”の概念」、3.「ASEANおよび域外関係国との国際連携を推進する視点」といった、3点を導入するとした新たな指針。ASEAN側各大臣は、新たな指針に対して歓迎の意を示した。さらに新指針の下、より実戦的な日ASEAN防衛協力を推進することに期待感を示した。
 新機軸として示した実施3原則は次の3つになる。
(I)心と心の協力
(II)きめ細やかで息の長い協力
(III)対等で開かれた協力
 このうち(I)は、ASEANの理念を尊重することとして、人的ネットワークを重視し、個別のニーズに率先して耳を傾ける姿勢を示したもの。(II)は、計画的・継続的で透明性のある関与として、持続可能なアウトカム(成果)を追求する。(III)については、ASEANの中心性・一体性・強靭性に資する国際連携を強化するというもの。
 また“強靭性”の概念については、「法の支配」を貫徹することが含まれる。海洋や航空分野での普遍的な国際規範を形成・共有することを促進する。さらには、地域の平和・安定を見据え、域内国の取り組みを支持する。海洋状況の把握など能力の向上を促進する。災害や非伝統的脅威などに対しては、対処能力向上を促進するため、地域的な課題へ自律的な対処の支援に取り組む。

 

※写真=日ASEAN防衛大臣会合で「ビエンチャン・ビジョン2.0」を発表。ASEANからは歓迎された(提供:防衛省)