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2017年度の航空機生産額は微増の1兆7374億円に
防需、民需とも増加、機体の減少をエンジンが補う
日本航空宇宙工業会は5月31日、2017年度航空機生産額(速報値)を公表、機体、エンジン、付属品・通信機器等を合わせた総額は前年度比316億円(約1.9%)増の1兆7374億円と微増した。そのうち防衛向けが前年度比74億円増の5344億円、民間向けが同242億円増の1兆2030億円と防衛、民間とも増加した。防需と民需の比率は31%対69%となり、2012年度以降民需比率が60%を超えている。カテゴリー別では、機体関係は前年度より3.5%減、エンジン関係は8.7%増、その他機器は13.1%増となっている。777の減産等による機体の減少を、民間向けエンジン部品の急増、防衛向け機体搭載電子機器や民間向け内装品の増加が補ったかたちとなっている。
777の減産などで機体民需358億円減に
民需エンジンは787搭載用など547億円増
生産額を機体、エンジンおよびその他の機器のカテゴリー別内訳は次の通り。
《機体関連》
防衛向けはほぼ前年度と同レベルの3343億円となったが、民間向けはボーイング777等向け機体構成品等の減から前年度を358億円下回る6257億円となり、機体全体では前年度より352億円(3.5%)減の9600億円となった。機体関連の民需比率は65%。
《エンジン関連》
防衛向けがエンジン本体の減により前年度を35億円下回る938億円となったが、民間向けがボーイング787向けエンジン等の増加により前年度を547億円上回る5493億円となったため、エンジン関連全体では前年度より512億円(8.7%)増の6432億円となった。エンジン関連の民需比率は85%と高くなっている。
《付属品・通信機器等その他機器》
防衛向けが機体搭載電子機器の増(戦闘機改修向け搭載電子機器や電子情報収集機向けなど)、民間向けは民間航空機向け内装品の増となり、その他機器全体では前年度より156億円(13.1%)増の1343億円となっった。この部門の民需比率は21%と低い。
長期的には拡大基調と見る
SJACではこのように2017年度の航空機生産は前年度からの減産に歯止めがかかり微増となったとしている。今後については、防衛向けではP-1固定用哨戒機、C-2輸送機などの調達により安定的な生産が期待される、との見方を示している。また、民間向けでは日本企業が参画するボーイング777は減産に入っているが、787の受注は堅調に推移し、2019年度以降は増産が見込まれている。次期主力機777Xの初号機納入が計画通り2020年に行われれば、それ以降777Xの生産は本格化すると見ている。SJACは防民の状況を踏まえると今後の航空機生産は拡大基調が期待されるとの見通しを示した。