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JAXA航空初ベンチャー、武蔵スカイプラスが設立
小型固定翼無人機と4発ティルト機で新市場創出
宇宙航空研究開発機構(JAXA)航空技術部門で初めてとなるJAXAベンチャー「武蔵スカイプラス株式会社」(武蔵スカイプラス)が、12月3日に設立された。これまでJAXAベンチャーは計6社立ち上がっているが、そのいずれも宇宙関係。航空技術部門として初めてとなったJAXAベンチャーは、固定翼の小型無人航空機と4発ティルトウィングのVTOL機を使って、「監視・警備」、「気象」、「環境モニタリング」、「土地利用」、さらには「緊急物流」などといったミッションにおけるサービス・ソリューションの提供を目指す。
武蔵スカイプラスを立ち上げた藏並昌武社長(JAXA航空技術部門次世代航空イノベーションハブ新規事業・企画連携担当参事)によれば、「まずは2~3年のうちに保有機数5~6機の体制を構築し、数億円規模の売上を目指したい」との見通しを明らかにした。
「日本国内には固定翼の無人航空機を活用したビジネスは無いに等しい。我々としてはJAXAの固定翼系の技術を活かしながら、新たなマーケットを開拓していく。だからこそ、JAXAベンチャーとして取り組む意味があり、マーケットを拡げていくことに貢献したい」と話し、JAXA航空技術部門の有する技術・ノウハウを活かしながら、新たな市場創出に取り組むことに意欲をみせた。
武蔵スカイプラスは、固定翼機およびVTOL機などを中心に活用した機体運用受託、さらには固定翼無人航空機、VTOL機の飛行を通じた様々なデータ取得などがコア事業となる。JAXA宇宙関連部門がこれまで手がけてきた衛星データなどとの融合・解析、販売なども視野に入れる。加えて、機体開発・設計、運航システムの開発のほか、機体の運用受託、技術サポート、教育・訓練などのコンサルティングなども手掛けていく方針だ。
想定する顧客のターゲットは、主に「監視・警備」業務などを手がける組織、「気象」サービスを手掛ける機関、「環境モニタリング」、さらには植生や林業、あるいは農業などの幅広い分野の「土地利用」を展開する組織などを見込む。加えて、医薬品や血清、血液などを離島や僻地、災害時に緊急的に輸送する「緊急物流」分野の需要も想定されるところ。
武蔵スカイプラスの名称由来
武蔵国から空に高付加価値を!
JAXA頭脳を活かし柔軟な設計開発対応
飛行実証は来年度、サービス開始は一年以内か
将来はHAPSやUTMなども
新ティルトローター機開発など多角化
〈UARMSの諸元・性能〉
・全幅=4.2メートル
・質量/搭載=最大55kg/3~10kg
・飛行時間=6時間
・飛行速度=時速110km
・推進=エンジン(ガソリン)
〈QTWの諸元・性能〉
・全幅=2.3メートル
・質量/搭載=最大25kg/2kg
・飛行時間=30分/50km
・飛行速度=時速0~110km
・推進=電動モータ
※写真=JAXAベンチャー「武蔵スカイプラス」が設立。4発ティルト機と固定翼無人機を活用して新市場を創出する。写真はJAXAと静岡県が災害監視などの共同研究向けに開発したQTW(提供:武蔵スカイプラス、JAXA、静岡県)
※写真=固定翼無人機。こちらは日本原子力研究開発機構(JAEA)との放射線モニタリングの共同研究で開発したUARMS(提供:武蔵スカイプラス、JAXA、JAEA)
※写真=藏並社長(右)と村岡CTO。JAXA航空技術部門初のJAXAベンチャーだ