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ボーイング、カルフーンCEOの新体制が始動
MAX問題で崩れた信頼と体制の立て直しへ
ボーイングは1月13日(シカゴ現地時間)、ディビッド・L・カルフーン社長兼最高経営責任者(CEO、62歳)による新体制が、正式にスタートしたことを発表した。ボーイングは昨年末、737MAX問題で苦悩したデニス・ミューレンバーグ前CEOの退任を突如発表。事実上の更迭となったかたちだが、カルフーン新体制発足によって、音を立てて崩れてしまった顧客から信頼や組織としての体制の立て直しを図る。
737MAX問題によって、機体のみならず組織的な問題も浮き彫りになってしまったボーイング。カルフーンCEOは新体制発足直後から既に全従業員にEメールでメッセージを発するなど、その体制の引き締めと顧客や規制当局からの信頼に回復に躍起になっている。
昨年末、ミューレンバーグ氏の退任とカルフーン氏のCEO就任を発表したボーイングだが、2020年早々、イラン・テヘラン国際空港を飛び立ったウクライナ国際航空PS752便の737-800型機が離陸直後に墜落、炎上して乗員・乗客全員が死亡するという痛ましい事故が発生。蓋を開けてみれば、事故原因はイスラム革命防衛隊によるミサイルの誤射という人為的なミスによる結果であることが明らかになったが、新体制を始動しようとしていた矢先であっただけに、ボーイング関係者に衝撃と緊張が走ったことだろう。
今後、ボーイングを牽引することになったカルフーンCEOはブラックストーン・グループ、ニールセンホールディングス、そしてGEなどといった大企業の経営幹部としてリーダーシップを発揮した経験を有する。とくにGEでは26年間の在職期間中、GEトランスポートおよびGEエアクラフトエンジンズを含む、複数のビジネスユニットを牽引した。ボーイングでも2009年から取締役を務めており、なかでも2019年10月11日から12月22日まで会長を務めてきていた。
カルフーンCEOは「挑戦に直面する中で、ボーイングの才能ある人々を率いることができることは光栄なことだ」とコメント。「一丸となって、安全文化を強化し、透明性を確保することによって、顧客、規制当局、サプライヤー、旅客との信頼を再構築する」として、数々の課題に取り組む姿勢をみせた。さらに、「737MAXの問題を含む、ボーイングの全ての将来に自信を抱いている」とも話した。
前述したようにカルフーンCEOは就任直後、・・・
※写真=ボーイングはカルフーン体制を正式に発足した。信頼回復と組織の体制立て直しを図る(提供:ボーイング)