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2020.02.03

WING

防衛省、帰国邦人等救援で自主災害派遣実施

PFI船舶の「はくおう」を活用、横須賀沖で待機続く

 防衛省は1月31日、中国で感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症について、武漢から帰国した邦人等の救援に係る災害派遣を実施すると発表した。帰国者の一時停留場所として、PFI契約をしている「はくおう」を活用することや、「はくおう」を含めた宿泊施設等での停留者の生活支援を行うとしている。
 なお、「はくおう」は、1月31日15時頃に母港の兵庫県・相生港を出港し、2月1日14時頃に東京湾に到着。2月3日10時現在まで帰国者の受入れ要請はなく、東京湾・横須賀沖で錨泊している状態が続いている。「はくおう」には関係省庁職員や自衛隊員はまだ乗り込んでおらず、帰国者の受入れ要請があり次第、停泊するバースなどを調整の上、受入態勢を整えるということだ。また、生活支援を行う隊員については、政府が用意した宿泊施設のうち4ヵ所において、10名が活動を2月1日から開始しているとのこと。
 この災害派遣は、政府が設置した新型コロナウイルス感染症対策本部の方針を踏まえ、感染拡大防止が特に緊急を要し、都道府県知事等の要請を待ついとまがないこととして、河野太郎防衛大臣が1月31日11時30分に自主派遣として命じたもので、自衛隊法第83条第2項ただし書きを根拠とするとのこと。この災害派遣命令を受け、防衛省・自衛隊では、前述のPFI契約をしている「はくおう」を帰国者の一時停留場所として活用すること、「はくおう」を含めた宿泊施設等での停留者の生活支援を行うため人員を派遣することにした。
 今回、帰国者の一時停留場所として活用することとなった「はくおう」は、島嶼侵攻対処などの有事の際に大量の人員・装備品を輸送するため、防衛省がPFI契約している船舶の一つで、総トン数約1万7000トンで、29.4ノットの速力を出すことができる高速フェリーだ。防衛省は、船室は94部屋あるため、個室として利用すれば最大で94名を受入れることができるとした上で、「風呂やトイレが備えられている個室は24室で、個室性が高いこの部屋から受入れていくことになる」と説明した。

 

※写真=帰国者の一時停留場所として活用するPFI船舶の「はくおう」(提供:防衛省)