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航空貨物、世界金融危機以降で最悪水準に
ジュニアックCEO、最悪の年の「根源は貿易戦争」
航空貨物業界関係者から、青息吐息が漏れ聞こえてきそうだ。国際航空運送協会(IATA)がまとめた2019年の世界の航空貨物需要によれば、リーマンショック以降、過去最悪の水準に留まったことが分かった。IATAによると、航空貨物需要を表すFTKは対前年比3.3%のマイナス成長に。一方で貨物スペースの供給量を示すAFTKは前年比2.1%上昇した。この結果、金融危機の発生によって航空貨物市場が9.7%縮小した2009年以来、最も弱い実績となった。
2019年は米中貿易戦争などに起因して世界経済の成長が鈍化。世界貿易も成長力が大きく鈍り、航空貨物セクターも輸出注文が減少したことなどに苦闘した。
IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEOは「貿易戦争による緊張は、2009年の世界金融危機の終わり以来、航空貨物にとって最悪の年の根源」と切り捨て、米中貿易紛争で航空貨物業界が大打撃を被ったことを訴えた。
一方、IATAは2020年の航空貨物産業について、自信と秩序が回復する兆候にあるとして、前向きな姿勢を示す。ただ、中国・武漢市で発生した新型コロナウィルス問題による経済減速が浮上している。この点についてIATAは新型コロナウィルスとの闘いに関連した渡航制限などの影響から、長期的な影響をどのように見るのかということに言及することは時期尚早としている。・・・
※写真=2019年の航空貨物需要はマイナス成長。金融危機以降で最も弱い業績となり、IATAのジュニアックCEOはその根源は貿易戦争だと切り捨てた