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2020.02.06

WING

ATR、新型のSTOL機が「数週間以内に風洞試験」

日本市場も注目の機体は2022年初号機納入へ

 ターボプロップ機を製造するATRのステファノ・ボルテリ最高経営責任者(CEO)が来日して2月5日、都内で記者会見に臨んだ。ATRは昨年10月に、わずか800メートルの滑走路があれば離着陸することが可能な短距離滑走路性能を有するATR42-600STOLを正式にローンチしたことを発表。ボルテリCEOは同機について、「今後数週間以内に風洞試験を開始する」ことを明かしつつ、2022年を目処に初号機納入を計画していることを明かした。ボルテリCEOはこの機体について、「日本市場でも約20機ほどの需要がある」との見方を示しており、日本市場への売り込み攻勢をかけていく構えだ。
 また、ボルテリCEOと共に来日したATRのエアラインマーケティングマネージャーのエリカ・ソメルサロ氏は、このATR42-600STOLについて、礼文、佐渡、調布、新島、神津島、小値賀、上五島、粟国、慶良間、波照間島といった、滑走路が短く運航に制約がある空港に対して就航することができることに言及。こうした空港のある地域・離島の総人口は約9万人規模にも達するとして、離島の地域住民に対する様々な機会拡大や観光促進などに向けた有用なツールであることをアピール。なかでも佐渡島と本土を結ぶ航空便は運航されておらず、アクセスはフェリーのみとなっていることに触れ、ATR42-600STOLが就航することによって、本土や他の離島などを結ぶアクセスが大きく改善することにも言及した。
 また、東京都が建設を検討中の小笠原空港についても、ATR42-600STOLが投入された場合、「東京から小笠原まで24時間かかる移動時間を、2時間にまで短縮することが可能」としており、「小笠原の大きな利用促進にも繋がるだろう」などと話し、小笠原の観光促進や地域住民の本土とのアクセス改善に繋がるとの見方を示した。
 ちなみに東京都は当初、小笠原空港の建設について、滑走路長1200メートル(全長1520メートル)としていたが、2017年度の調査結果を踏まえて滑走路長1000メートル(全長1320メートル)へと短縮する方針を固めた。同時にATR42-600STOLを活用することにも触れている。

 

ATR42-600STOLはどんな機体?
STOL性能は如何にして生まれたのか

 

貨物専用機、フェデックスが年内に運航開始

 

■新ブランド「into life」に込めた想い
日本市場には独自の3テーマも

 

※写真=ローンチしたATR42-600STOL。日本市場でも売り込みを図る(提供:ATR)

※写真=来日したATRのステファノ・ボルテリCEO

※写真=ATRわずか800メートルの短い滑走路でも離発着することができる(提供:ATR)

※写真=ATRの最終組立ライン。ターボプロップ機のマーケットリーダーのATRは日本市場でも更なる攻勢をかける

※写真=ATRは新ブランド「into life」を掲げた。日本市場ではこのブランドコンセプトの下で独自に”旅を楽しむ”、”地域生活を豊かに”、”復興の架け橋”を掲げてアピールする