記事検索はこちらで→
2020.02.10

WING

19年の航空旅客需要、金融危機以降初の長期トレンド割れ

低調な経済成長や貿易の弱さなど航空需要に打撃
 
 国際航空運送協会(IATA)がまとめた2019年の世界の航空旅客市場動向によると、航空需要を表すRPKは、対前年同期比4.2%増加した。2018年に記録したRPK成長率7.3%と比較して、低調な成長に留まった。IATAによれば、2009年の世界金融危機以降、長期トレンドである年率5.5%の成長を下回ったことは、これが初めて。そうしたなか座席供給量を示すASKは3.4%増加しており、ロードファクター(L/F)は0.7ポイント増加した82.6%となり、過去最高のL/Fを記録した。
 IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEOは「航空会社は数多のチャレンジに見舞われるなか、堅調な成長を維持した」と2019年の実績を総括しつつ、「経済活動が緩やかであることに加えて、世界貿易の弱さ、政治的あるいは地政学的緊張が、航空需要に打撃を与えた」と分析。各社が推進している座席供給量のマネージメントや737MAX運航停止などによって座席供給量の拡大が抑えられた結果、L/Fが過去最高を更新したことなどに触れた。
 各地域の国際線市場動向をみると、アジア太平洋地域の需要は4.5%増加。2018年の8.5%の成長から急落する結果となった。これは米中貿易戦争が影響して、経済活動が弱含みに推移したことなどが原因。ASKも4.1%増加しており、L/Fは0.3ポイント上昇した80.9%となった。・・・

 

※写真=昨年の世界の航空需要は長期トレンドを下回る結果に。世界金融危機以降で初めてのこととなり米中貿易戦争などといった政治的・地政学的リスクが影響した(提供:IATA)