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中部国際空港、中国旅客便6割減、着陸料、免税影響も
各務副社長、先行き不透明「影響図りかねる」
中部国際空港会社の各務正人副社長は2月13日の会見で、中部空港(セントレア)発着の中国旅客便が2月13日現在、1月1日計画よりも週130便落ち込んで週81便になっていることを明かした。新型コロナウイルス拡大の影響で、約6割もの中国便が減少したことになる。国際旅客便としては現在、154便減少の328便。業績面への影響については、沈静化までの期間など先行きの不透明感が強いため、今のところ「事態を冷静かつ慎重に見守っていきたい」との説明に留めた。同社の中期経営計画は2019年度が最終年度となるが、この減便影響を新規目標へどのように反映させるのか「まさに検討中」だ。セントレアではこれまで、中国路線の獲得に力を入れてきただけに、大きなネガティブ影響は避けられそうにない。
各務副社長は中国線の減便影響を「図りかねる状況」だが、着陸料収入や旅客サービス施設使用料(PSFC)収入に直接減収影響が表れることになると説明した。さらに、購買行動が活発な中国人旅客が少なくなるため、免税店売上げの減収影響も懸念した。セントレアでは、世界的な航空需要の高まりや、路線誘致活動によって、発着・旅客数を拡大してきた。様々なイベントリスクで伸び悩んだが、14年目の2019年にようやく開港初年の旅客数を上回り、最高値を更新した。それがここにきて、なおもイベントリスクに悩まされることとなった。
アジア路線誘致に注力、中国減便フォロー
中部会社では、減少著しい中国線をフォローするため、中国線と同様に路線誘致で獲得してきたほかのアジア路線に力を入れて拡大を図っていきたいという。香港線や韓国線は、地域情勢の影響で、香港線のアウトバウンド、韓国線のインバウンドで減少影響が見られた。しかし逆の香港イン、韓国アウトでは回復している状況とのこと。こうした好影響が見られる路線をフォローしていく必要があるとした。また台湾線もいぜん需要が高い路線で、まだ就航していない地域もあるため、この獲得にも力を入れる。また東南アジアでは、バンコク線をはじめ、各方面で伸びている。「今までよりもさらに広げたマーケットで利用を拡大していく」と説明した。
アジアを中心に路線誘致を図るとしたものの、各務副社長は「全方位的にネットワークとして成立してほしい」と話した。近場の東アジア、ミドルの東南アジア、ロングホールの欧米線や豪州線など。まんべんなく各方面あれば「それに越したことはない」という。これはエアラインと相談しながら、空港としてどこまで貢献できるか決めていくこと。そうした路線誘致活動で一番ハードルが低いのは東アジアになる。台湾の未就航都市のほか、日韓問題発生前の韓国では需要が伸びる動きだったため、それをかたちにしていきたいという。東南アジアについては、まだ多数存在する空白地に注目。ソウした地域とを繋ぐ路線をつくる必要があるとのこと。やはり、誘致のハードルが最も高いのは長距離線だ。豪州線、北米線、欧州線といった長距離で就航しているのは、ルフトハンザ、フィンエアー、デルタ航空といったエアライン。「もっと地点を増やしていき、中部として特色ある路線を育てていきたい」と述べて、長距離の獲得にも意欲を示した。
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