WING
津田駒工業、国産初の複雑曲面積層可能なCFRP自動積層機開発
川崎重工に初号機納入へ、航空機中心に自動車産業にも展開
津田駒工業が、国産初となる小型ロボットタイプの炭素繊維複合材(CFRP)曲面積層機(ロボットAFP)を開発することに成功した。高精度アームロボットに、津田駒工業の小型積層ヘッドを搭載することで、曲面など複雑形状のCFRP部品の自動積層を、国産機として初めて実現した。
CFRP部品の生産性向上に加え、複雑形状にもCFRPを適用することができるようになるなど、航空機などへのCFRP適用を拡大することにも繋がりそうだ。
なお、津田駒工業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトの一環で、開発することに成功。航空機産業を中心として売り込みを図る計画で、その初号機を川崎重工業に納入する。その後、将来的に適用の拡大が期待されている自動車産業にも展開する予定だ。
胴体・翼などの曲面構造の生産性向上
航空機産業では、構造材料としてCFRPの適用が進み、787ドリームライナーでは機体構造の50%が、A350XWBでも53%がCFRP製となるなど、適用拡大が進んだ。高強度でかつ軽量素材であるCFRPは、低燃費機材ニーズが高まっている昨今、旅客機構造への適用が大きく拡大している。
ただ、一方でCFRPは曲面などの複雑形状になじみにくく、複雑な曲面の積層作業などは、人の手作業が不可欠であり、大量生産に向けた課題となっていた。
そうしたなかNEDOでは、2015年度から航空機産業の国際競争力の維持・拡大を目的とする要素技術開発プロジェクトに取り組んでおり、同事業の一環で、津田駒工業が小型ロボットタイプのロボットAFPに取り組んでいた。
開発したロボットAFPは、津田駒工業が既に国内外で航空機・自動車部品製造用途として適用実績のある独自の自動積層技術および周辺装置、工作機械関連装置の要素技術を展開し、高精度ロボットに小型積層ヘッドを搭載することで、航空機の胴体・翼などの構造部品(チャンネル部品)など複雑な形状のCFRP部品の自動積層を可能にした。
この積層機では、炭素繊維に樹脂を染み込ませた熱硬化プリプレグを4分の1インチ程度の細幅にカットした材料(スリットトウ)を用いる。計16本のスリットトウを個別に制御して高速積層することにより、複合材部品の高生産性を実現したという。
さらに、高精度のアームロボットに、小型化した積層ヘッドを搭載することで、これまでは適用が難しかった曲面のある複雑形状にも対応。加えてCFRPの積層作業をロボットが自動で実施することにより、製造工程の低コスト化が見込めるため、航空機や自動車をはじめとする輸送機器分野などへのCFRP部品の利用拡大に繋がるとみている。
※写真=CFRP曲面自動積層機を開発することに成功。航空機の曲面構造などでも高い生産性を実現することができる(提供:津田駒工業/NEDO)