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川崎重工、次期航空機開発で「ものづくり全体のラインビルド」構想
AIによる危険予兆や対策提案も、AIは自社開発へ
川崎重工業航空宇宙システムカンパニーの下川広佳プレジデント(取締役常務執行役員)が本紙の取材に応じて、将来の民間航空機用構造部品の生産においては、「車の生産ラインのように、ものづくり全体をラインビルドする」との構想を明かした。
「現状、人の手作業だった一部の部分的な工程作業をロボットに置き換えることを図ってきた」との認識を示しながら、「次のプログラムでは我が社の生産技術、ロボット技術、センサー技術を集結して更なるシナジーを生み出し、ライン全体を新しい構想の下で構築することを目指したい」とした。
ロボットを活用した自動化のほかにも、航空宇宙システムカンパニーが強力に推進してきているIoTの導入について、「これまでは航空機生産のトレーサビリティーをベースとして、電子化を進めてきた。設備からのリアルタイム情報、ものづくりの様々な情報の蓄積も始めたところだ」との認識を示した上で、将来的には「集まる様々なビッグデータをAI(人工知能)が処理することによって、次に講じるべき一手を、AIが提案するようなシステムを構築したい」ことに言及。「ビッグデータとして情報を吸い上げ、そのなかでトレンドを解析し、例えば生産遅延などといった危険予兆を捉えることや、さらには余力あるサプライヤーに転注することなど、様々なことを提案までしてくれるようなAIを作りたい」との見方を示した。
こうしたAIについては「自社開発で取り組むことになる」としており、川崎重工業の航空機づくりは、次なる航空機開発・製造プロジェクトにおいて、更に高い国際競争力を有した生産ラインへと進化することを目指す方針だ。
潮流となった自動化、IoT、AI
中小サプライヤーと共に取り組む
優秀な生産技術者の育成必須
岐阜大学の取り組みに注目
NMA含む新規事業で適用期待も経済合理性で判断
(以下、次号以降に掲載予定)
※写真=下川広佳プレジデント。次の航空機開発では自動車のようにものづくり全体をラインビルドするという
※写真=川崎重工業の777X向けパネル_ドリルロボット。こうした自動化を既に進めたが次期航空機開発では更に進化するラインを構築する(提供:川崎重工業)
※写真=川崎重工業の777Xラインに設置されているパネル_タッキングロボット(提供:川崎重工業)
※写真=川崎重工業の777Xラインにある部品位置決めロボット(提供:川崎重工業)