ウイングトラベル
新型コロナ終息後に大規模観光キャンペーン展開へ
政府方針、官民一体で早期に国内の人流回復を
政府は3月5日に開催した未来投資会議で、新型コロナウイルスの問題を受けて大きな打撃を受けている観光を含めた地域経済の活性化に向けて、新型コロナウイルスの流行終息後速やかに日本国内での人の流れを復活させるための大規模キャンペーンを官民一体で展開する方針を示した。観光関連同様に新型コロナウイルスで打撃を受けている製造業のサプライチェーン(供給網)改革に向けた取り組みとあわせて、4月以降に順次対応策を講じていく考えだ。
会議で安倍晋三首相は「国民の健康を守ることを最優先に感染防止に全力を挙げる一方、その後には東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて官民一丸となってキャンペーンを実施し、内外にメッセージを発信する。その流れを回復するため観光事業の喚起や地域の農産品、商店街の賑わい回復も含め、国を挙げたキャンペーンを検討する」と述べた。
未来投資会議は国や地方の成長戦略を議論する場となっており、今回が36回目の会議となった。観光に関しては当初未来投資会議の議題となっていなかったが、昨今の新型コロナウイルスの問題を受け、中国からの部品調達停滞で影響を受けている製造業のサプライチェーンに関する問題とあわせて急遽議論することとなった。
日本人国内旅行延期・キャンセルは35.6万人
2月20日からの9日間で、海外旅行は2.5万人
会議では、内閣官房日本経済再生総合事務局から全国旅行業協会の調査を基に作成した新型コロナウイルスの問題による旅行契約への影響について資料が示された。これによると、2月20日から28日までの9日間で日本人国内旅行の旅行キャンセル・延期数は2796社・35万6000人となった。2月7日に調査した過去22日間の累計では397社、2万2000人であったことから、感染者数の増加やこれに伴うイベントの中止・延期や観光施設の休業により大幅に増えたものと見られる。
また、日本人海外旅行のキャンセル・延期については1100社・2万5000人。訪日外国人旅行の旅行キャンセル・延期は729社・10万6000人となっているという。
また、日本バス協会の調査に基に作成した貸切バスの運送収入の見通しに関する資料によると、2月の収入が前年比14%ダウンの22億7000万円だったが、3月は51%減の14億1000万円、4月は53%減の15億6000万円となるとしている。
そうした中で、政府は現時点では国民の命と健康を守ることを最優先に感染拡大防止に向けた取り組みや企業の資金繰りや雇用維持への支援が重視していくとした。
商店街の賑わい回復など地域経済浮揚策に重点
観光活性化に向け国内外へメッセージ発信
※写真=未来投資会議で発言する安倍晋三首相(首相官邸ホームページより)
※写真=会議終了後に会見を行う西村康稔経済再生担当大臣