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2020.03.10

WING

新型コロナ、世界の航空座席供給量が11%減

OAG調査、中国国内線の座席供給には回復の兆しも

 世界最大規模のデジタル航空情報会社であるOAGは3月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界各地で路線ネットワークが影響を受けているなか、とりわけ北東アジア地域と西ヨーロッパ地域の座席供給量に大きな変化が現れているとの分析を明らかにした。北東アジアおよび西ヨーロッパ地域では、週ごとに100万席以上もの座席数が減少しているとして、こうした地域では新型コロナウイルス感染拡大に伴う航空会社の座席供給量に甚大な影響が及んでいるとして警鐘を鳴らした。OAGによれば、1月20日~3月9日にかけて、世界の航空座席供給量は約11%減少したと分析しており、先週は約2.7%減少したとしている。
 ちなみに、1月20日の座席供給量と3月9日の座席供給量の変化率をみてみると、北東アジア地域は44.8%減少、東南アジア地域も17.7%減少するなど、大幅な供給量の絞り込みが実施されていることが浮き彫りとなった。
 OAGは北東アジア地域と西ヨーロッパ地域で座席供給量の絞り込みが顕著に行われているなか、欧州と北米地域において感染拡大がみられることから、航空会社は需給調整に踏み切っているとの見方を示したが、一方で中国では先週、国内線ネットワークに約300万席が追加されるなど、中国国内線市場には回復の兆しがみられていることも明かした。
 OAGのジョン・グラント氏によれば、「現在の状況を要約することは困難」との認識を示しながら、「座席供給量は新型コロナウイルスの感染拡大に比例して変化している」とコメント。その上で、楽観的みれば中国国内線の座席供給量の増加は、新たに報告された症例数の減少と相関関係にあることに言及した。
 しかしながら、「他の主要な北東アジア市場では、新しいコロナウイルスの感染症例が報告されているため、毎週座席供給量が減少している。北米の生産能力はほぼ安定している一方で、西ヨーロッパでは生産能力の削減が見られ始めている」として、日々刻々と世界の航空会社を取り巻く状況が変化していることに触れた。

 

路線網が崩壊した北東アジア地域

 

 

西欧も甚大な影響、イタリアの座席供給量は13%減
4月のイースター休暇への影響懸念も

 

北米地域は座席供給量を拡大

 

※写真=新型コロナウイルスの感染拡大で航空会社は座席供給量の絞り込みを進めている。とくに北東アジアと西欧地域が甚大な影響を受けている様相だ(提供:OAG)

※グラフ1=世界の座席供給量の変化。1月20日~3月9日を対象期間(出典:OAG Schedules Analyser)

※表1=主要市場における座席供給量変化(出典:OAG Schedules Analyser)

※表2=北東アジア地域の航空会社における座席供給量変化(出典:OAG Schedules Analyser)

※表3=北米地域の航空会社における座席供給量変化(出典:OAG Schedules Analyser)