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装備庁、多機能電子戦機など3件の情報提供募集
既存電子妨害機や電子戦機器の情報求める
防衛装備庁は6月12日、「新対空機関砲」、「AIを活用した将来航空装備」、「多機能電子戦機」の3件に関して情報提供企業の募集を公示した。
このうち多機能電子戦機については、実現可能な取得方法の検討のため、既存の取得可能な電波妨害機能を有する航空機の技術情報を得ることと、搭載可能な電子戦関連装置の技術情報を得ることの両方について実績、知見、能力を有する民間企業から情報提案意志のある企業を募集し、意見交換して、多機能電子戦機の取得に関する検討を効率的、円滑に進めたいとしている。防衛省の構想している多機能電子戦機がどのようなものか明らかではないが、訓練用の電子戦機を少数保有するのみの現状から、より多数機による攻勢的な電子戦の可能なものが想定されるだろう。ひとつの方向性としてF-15に搭載する電子妨害ポッドの試作が過去に行われたが、量産はされていない。今回の情報提供企業は情報を日本語で求めているが、企業国籍は問わず、電子妨害機の開発、製造実績のある企業、電子妨害機の開発、製造知識・技術がある企業、電子妨害機の輸入・販売権利を持つ企業の3分野を挙げている。既存の電子妨害機では米国のEA-18Gグローラーやトーネードの派生型などがあり、国内では戦闘機の改造の可能性はあると見られる。
なお、今回の検討作業ではコンサルティング企業の活用を明示しており、その企業は今回応募しないことになる。
AI活用の将来航空装備は航空無人機、電子戦システム
次に、AI(人工知能)を活用した将来航空装備については、航空無人機システム、電子戦システムと括弧書きで限定しており、これは技術的検討のため情報を求めるとしている。このうち航空無人機についてはさらに情報提供依頼内容として、携帯型・ドローンを想定した装備品及びシステムは対象外とすると限定している。これらから類推すると比較的大型の航空無人機と電子戦システムの情報を求めており、両者が合わさったものも将来装備として想定されるのかもしれない。
新対空機関砲も情報提供募集
また、新対空機関砲については、取得形式として「新機種の開発」、「既存機種の能力向上型開発」または「購入」を選択する場合に参画可能な情報を求めるとしている。今回募集の他の2件も同様の選択肢ではあろうが、明記したのは新対空機関砲のみである。この新高射機関砲は航空自衛隊が基地防空用に装備しているVADS(ヴァルカン防空システム)20ミリ機関銃の後継と推定される。基地防空においては短SAMまたは基地防空SAM、携帯SAM、機関砲の3段構えとなっている。VADSはレーダー、赤外線装置を装備しているが、人員が直接操作するタイプで、巡航ミサイル防衛には不十分と見られる。より自動化が進んでいる艦載用のCIWSを車載化するとか、機関砲の口径を大きくして破壊力を増すなどいろいろな可能性は考えられる。
今回の情報提供企業募集はいずれも、7月12日午後5時までに情報提供意志表明書と応募要件確認書類を、防衛装備庁プロジェクト管理部装備技術官(航空担当)付(電話03-3268-3111内線26243)まで提出することになっている。
※写真=既存の電子戦機のひとつEA-18Gグローラー(提供:米海軍)