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2020.03.19

WING

スペースジェット、設計改修した10号機が初飛行

全TC試験実施可能に、焦点は渡米時期も新型コロナ影響?

 三菱航空機は3月18日、全ての設計改修を反映したスペースジェット「M90」の10号機が、初飛行に成功したことを発表した。これによりスペースジェット「M90」は、型式証明取得に向けた当局の全ての型式証明飛行試験を行うことができるようになるなど、型式証明取得に向けて大きな一歩を踏み出したことになる。
 スペースジェット開発の今後の大きな焦点となりそうなのが、飛行試験の本拠地である「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」に向けて、いつ10号機のフェリーフライトを実施することができるのかということだ。まずは今後国内で飛行試験を実施して、モーゼスレイクへとフェリーする準備を整えることになるが、「通常であれば1〜2ヵ月後にはフェリーすることができる」(三菱航空機)見通しだ。
 ただ、「新型コロナウイルスの影響がないとは言い切れない」として、航空業界に大打撃をもたらしている新型コロナウイルスは、スペースジェットの開発にも少なからぬ影響をおよぼす可能性を示唆。いつごろフェリーフライトを実施することができるのか、米国側などとの慎重に調整を進めていく方針だ。
 また、今年2月6日の三菱重工業の決算会見では、スペースジェット初号機の全日空(ANA)への引き渡し時期を、「2021年度以降」という表現に留めた。やはり鍵を握るのは、米国にいつ10号機を輸送することができるのかということ。2月の決算会見でも、10号機の米国へのフェリーフライトが決まり次第、初号機納入時期など、より具体的なスケジュールを発表することを明らかにしていた。
 しかしながら新型コロナウイルスの感染拡大で、各国政府の対応が日に日に厳しくなるなど、今後の先行きを誰もが読み切れない状況にある。三菱航空機としても「国内での飛行試験に限らず、あらゆる選択肢をもって検討する」として、安全を担保しつつ可能な限り早く次のステップへと歩みを進めていきたい方針だ。

 10号機の初飛行は約2時間
 基本性能を太平洋側空域で確認