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2020.03.25

WING

今年の旅客収入、前年比28兆円減と悪夢の年に

IATA、3月5日の12兆円損失予測から倍以上悪化

 国際航空運送協会(IATA)は3月24日(ジュネーブ現地時間)、2020年の航空業界の旅客収入が、対前年比44%減少する2520億ドル(日本円:約28兆円)に達する可能性があるとの最新予測結果を明らかにした。
 IATAは去る3月5日に最大で1130億ドル(約12兆円)の損失が発生する可能性があると予測していたが、1ヵ月を待たずして3月5日のワーストケースを、実に倍以上上回る規模の損失可能性があるとの見通しに修正したかたちだ。これは3月5日時点では、誰もが予測できなかった入国・渡航制限措置が世界各地に広がっていったため。最新シナリオは厳しい渡航制限が最大3ヵ月続き、その後、今年後半に緩やかな景気回復が続くというシナリオに沿って予測したという。
 IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEOは「航空業界は深刻な危機に直面している」とコメント。「以前に発表した最悪のシナリオでさえ、最新の予測と比較すれば、かなり良く見えてしまう」と話すなど、業界が置かれている状況と各国政府による支援を訴えた。
 まさに悪夢の年−−−。本来であるならば、東京オリンピック・パラリンピック大会など、世界の航空業界、とくに日本の航空業界は大いに盛り上がるはずだった。そこから急転直下でもはや悪夢としか表現しがたい状況に陥った。しかも1月末に始まったこの悪夢は、3月後半となった今でも、醒める気配さえみえてこない。
 航空会社各社も「かつてない危機」として、この前例のない事態に立ち向かおうとしているが、状況は苦しくなるばかりだ。CAPAでは、「5月末までに多くの航空会社が倒産するだろう」などとする分析が出てきており、各国政府が財政支援を含む様々なかたちで航空業界をバックアップしているが、CAPAの予測が現実のものとなりかねない様相だ。
 IATAが今回明らかにした最新予測のシナリオでは、渡航に対する厳しい制限が3ヵ月後には解除されると想定した。今年後半の渡航需要は、世界的な景気後退などが影響して、回復が遅いと予想。通年の旅客需要(RPK)は、2019年と比較して38%減少すると予測した。
 国内線および国際線の座席供給量を表すASKは、前年同期と比較して6月30日までの第2四半期に65%減少するとした。その上で、このシナリオでは第4四半期に10%減にまで回復すると設定した。
 この最新シナリオの予測で、・・・・・・・・・・・。

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