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野村総研、政府に「雇用維持宣言」を提言
雇用調整助成金、中小企業に全額補助を
野村総合研究所は3月25日、新型コロナウイルスが日本経済に及ぼす影響に対して、最も優先すべきは雇用の維持として、政府は速やかに「雇用維持宣言」を出すことを提言した。雇用の維持に政府は全力を注ぐことを確約するとともに、事業者の「踏ん張り」を強く促すべきとして、1.雇用調整助成金の全面活用、2.資金繰り対策、3.国内消費テコ入れ政策の検討の3点の実施を求めた。
雇用調整助成金の全面活用については、新型コロナウイルス感染症の収束までの間、雇用調整助成金の受給要件の撤廃・対象者を全被雇用者に拡大し、とくに中小企業に対しては助成率を2/3から全額に拡大すること、助成金支給までのつなぎ融資制度の創設を提言した。
資金繰り対策については、緊急貸付制度などの拡充と融資実行までの迅速化、各種税・社会保険料等の納付延長を求めた。
野村総研では、新型コロナウィルスが日本経済に及ぼす影響を大きく分けて、1.個人消費や訪日観光客の激減などによる国内経済の急減速、2.海外経済の混乱による輸出の減少、3.資産市場の混乱の3経路を挙げた。
この中でも、観光業を含む国内経済の急減速は顕在化し、残る2経路は感染の世界的な広がりによって、今後本格的に顕在化する可能性があると指摘した。
同総研の試算によると、日本国内での失業率は1月時点の2.3%に対して、3.1%〜5.2%くらいにまで拡大する可能性があるとし、雇用調整助成金の拡大、国内消費のテコ入れによって影響を小さくすることは十分可能としている。