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2018.06.18

WING

エア・ウォーター、キセノン・クリプトン製造設備を新設へ

来年4月から製造開始、安定供給と事業拡大を狙う

 

 エア・ウォーターは、キセノンやクリプトンといったレアガスの安定供給と事業の拡大を目的に、加古川工場にレアガスを製造設備を新設する。エア・ウォーターは現在、神戸製鋼所加古川製鉄所内に深冷空気分離プラントを設置し、製鉄プロセスで必要となる酸素・窒素・アルゴンの供給を行っている。そうしたなか昨年10月に設置したプラントにレアガスの製造設備を新たに設置。2019年3月末までに製造設備の設置を完了し、4月から製造を開始する予定だ。新設備は、空気分離装置で製造する液化酸素を利用した深冷分離方式で、その製造能力はキセノンを年産11万3600リットル、クリプトンを88万900リットル生産することが可能だ。
 キセノンとクリプトンは、空気中に極めて微量にしか存在しないガス種であり、どちらのガスも酸素より沸点が高いため、深冷空気分離の過程で液化酸素の中に凝縮。そこから精製装置によって余分な成分を精製・精留したのち、製品としての純粋なキセノンとクリプトンを採取することができる。
 ネオン、クリプトン、キセノンといったガスは、いわゆる”レアガス”と呼ばれている。”レア”の名が示すように、空気中に極めて微量にしか存在しないガスであり、アルゴンやヘリウムと同様に、レアガスの一種だ。いずれのガスも不燃性・不活性という点で共通しているが、それぞれ他のガスにはない特性を持っており、エレクトロニクスを中心とした工業用から医療用まで幅広い分野で利用されている。

※画像=「はやぶさ2」に搭載されているイオンエンジンはキセノンガスをプラズマ状態にし、プラズマから+電気を持ったイオンを取り出して、静電気の力で高速噴射(提供:JAXA)