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2020.04.14

WING

東アジア戦略概観、中国の覇権競争移行に注目

太平洋島嶼国と関係強化、米国に対し“前へ”

 

 防衛研究所は4月10日、昨年の東アジア安全保障動向を分析した「東アジア戦略概観2020」を発表した。1996年の創刊以来、毎年刊行している同レポートは24回目を迎え、地域に関連する国・地域の動向を観測。特に中国・習近平は米国との将来的な覇権競争を踏まえ、世界のリーダーシップを取るために長期戦でじっくりと腰を据えた争いへ移行したという。東シナ海・南シナ海を超えて、太平洋での存在感を強めていることなどを指摘した。
 レポートによると中国は、太平洋国家の島嶼国と国交を強化して、米国に対して“前へ”という強い意向を示している。島嶼国との関係を背景に、宇宙ビジネスの強化へ向けた足がかりと、第2列島線を越えて軍事力展開を行う可能性を見せる。特にキリバスとの関係については、民生用ながら人工衛星の追跡基地を設置したことを指摘。これが将来の軍事協力進展につながれば、米国の影響力低下のリスクがある。
 また中国の人民解放軍は、ミサイル配備を一層強化しているほか、自身が初めて一から造った空母が就航したことなど、軍備強化の進展も注目されるところだ。さらにロシア軍と進展する軍事協力にも言及。中国とロシアは度々、太平洋側で合同軍事演習を行ってきた。日本でも領空・領海付近で両軍の航空機や艦船など、顕著に確認してきた。こうした合同軍事演習は、太平洋側だけではなく、最近では中央アジア方面でも実施していることが分かっている。装備の面だけでなく、軍隊の練度の面でも急速に近代化が進んでいるとした。

 

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※写真=2019年7月に竹島付近の領空へ侵入したロシアのA-50(提供:統合幕僚監部)