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2020.04.21

WING

ヴァージン・オーストラリア、新型コロナで経営破たん

「政府など支援要請も支援得られず」と恨み節も

 ヴァージン・オーストラリア・ホールディングスの取締役会が4月21日、任意管理者を任命し、事実上の経営破たんに陥ったことを発表した。ヴァージン・オーストラリアは、全日空(ANA)と包括提携契約を締結。今年1月末から、豪州国内6路線でコードシェアを開始しており、当初計画では今春以降、日本−豪州間の国際線と日本国内線においてもコードシェアを拡大する予定だった。そのパートナーであるヴァージン・オーストラリアの経営破たんは、ANAの豪州戦略の大きな痛手となりそうだ。
 新型コロナウイルスの感染拡大で大幅に需要が減退している世界の航空会社は、各地で追い詰められている。各社はフリート削減など様々な手法でコスト構造変革に挑んでいるが、すでに英国のフライビーが経営破たんしたほか、ルフトハンザグループも傘下のユーロウイングスの下で展開しているジャーマン・ウイングスの運航を停止。新型コロナ危機以前から計画していたユーロウイングスへのブランド統合を前倒しで進めることを決定するなどの事例が出ているが、豪州第3の航空会社であるヴァージン・オーストラリアも、新型コロナウイルスの前に倒れた。豪州に拠点を置くアジア太平洋航空研究所(CAPA)は、「5月末までに多くの航空会社が破たんするだろう」(本紙3月17日号)と警鐘を鳴らしていたが、世界の空は着実にCAPAの警告した世界へと向かっている。
 ヴァージン・オーストラリア・ホールディングスによると、グループの取締役会は、デロイトのヴォーン・ストローブリッジ氏らを、同社およびその子会社の任意管理者に任命したという。
 ヴァージン・オーストラリア・ホールディングスは新型コロナウイルスによる危機は、同社の取締役会が、グループの省人化やフリートの見直し、不採算ルートからの撤退、サプライヤー契約の見直しと再交渉など、コスト構造の変革に取り組んでいる最中に発生したと振り返った。その上で、経営破たんという苦渋の決断に至ったことについて、「前例のない危機の支援について、グループが州政府および連邦政府を含む関係機関などから財政的支援を要請してきたものの、必要な支援を未だ得られていない」と恨み節も聞かれた。
 経営破たんに至った一方で「必要不可欠な人の移動や、重要な貨物線の維持、オーストラリア人の帰国を支援するために運航計画済みの国際線および国内線の運航を継続する」としており、スタッフやサプライヤー、パートナーと引き続き緊密に連携していくとしている。
 任意管理人として指名を受けたデロイトのヴォーン・ストローブリッジ氏は、・・・・・・・・・・。