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コロナ後の世界、インド太平洋戦略進展に懸念も
停滞する共同演習・協力、権威主義へ傾く国も
新型コロナウイルス終息後の東アジア周辺地域は、日本や米国にとって厳しい状況に進むかもしれない———。防衛研究所がこのほど専門紙記者クラブに示した見解では、感染症の拡大から終息までの期間、地域のバランスについては今のところ大きく変化しない見込みだとしながらも、これまで進展させてきた“自由で開かれたインド太平洋戦略”が停滞し、関係地域各国が中国による進出を許してしまう懸念があるという。さらに、感染拡大防止の強いリーダーシップが求められる中で、権威主義へ傾く状況も考えられるというのだ。
これは同研究所の研究者が、あくまで学術的見地から独自に示した見解。政府による公式なものではないが、とても悠長に構えることができない今後の状況が客観的に示されたかたちとなった。
日本の立場から見た感染症拡大の影響は、多くの部分で懸念があるという。日本政府は、“自由で開かれたインド太平洋戦略”に基づいて、ASEANやインドなど関係各国と協力体制を強化してきた。その理由は、中国進出の対処だ。もはや日本や米国だけでは、中国の強力な進出に対処しきれない。そのため地域の関係各国と良好な関係を築くことで、中国を牽制してきた。ところが感染症拡大の影響で、日本と関係国による共同訓練や防衛協力など、ほとんどが停滞した。一旦ストップしてしまうと、これまで継続してきた取組みの計画遅れを取り戻すことは容易ではない。
さらに、もう一つ重要な理念の部分に懸念があるという。これまで日本政府はインド太平洋地域各国に対し、協力・共有する努力を行ってきた。この度の感染症拡大で、防止するための強力なリーダーシップが発揮される、あるいは求められることで、引いては権威主義が強まる可能性が出てくる。これまで“インド太平洋戦略”の構想において、各国を惹き付けようとしてきた部分が難しくなるかもしれないのだ。
多くの感染者出したASEAN、中国支援歓迎か
ASEAN、東南アジア地域の一部では、感染症対策として、強いリーダーシップのもと国民を管理する方が対策を取りやすい状況があると見られる。東南アジア地域各国の感染症対策は、基本的に対応が遅れ、感染者および死者も増加した。そうした国に対し、例えば中国が手を差し伸べたときに、多くの国が中国の申し出を歓迎することになる。それは感染症終息後でも、おそらく中国へプラスに働くことになる。
その一方でASEAN全体では・・・・・・・・。
米・中の覇権争い、感染拡大の責任は?
中国の香港・台湾対応、変わらず強気の姿勢
※写真1=中国は空母「遼寧」による演習など、インド太平洋地域への進出を強める(提供:統合幕僚監部)