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2020.04.30

WING

JAL決算、新型コロナ影響で営業利益42.9%減

 過去最大のイベントリスク、手元流動性確保へ

 

 日本航空(JAL)が発表した2020年3月期決算(2019年4月1日-2020年3月31日)は、2020年1月以降感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の影響で、営業収益が前期比5.1%減の1兆4112億円となった。利益面では、営業利益が42.9%減の1006億円、経常利益が38%減の1025億円、当期純利益が64.6%減の534億円。感染症拡大前の堅調だった業績から一転、ほとんどの便を運休・減便せざるを得ない厳しい状況となった。今のところ感染症収束の兆しが見えず、不透明感が増している。そのため今後の業績を見通すことが困難だとして、2021年度業績予測の発表を見送る。それとともに期末配当は無配当にすることを決めた。
 JALグループは、感染症拡大による入国規制および航空需要の急減速、さらには国内の緊急事態宣言による移動自粛などの影響で、直近の国際線運航を約95%減、国内線は約70%減とするなど、極めて甚大なマイナス影響を受けた。決算会見を行った菊山英樹専務は、同感染症の影響が「過去に航空業界が経験してきたことのないイベントリスク」と話し、深刻な状況をあらわにした。そのため緊急対応策として、これまでにも行ってきた柔軟な路線・便数の見直しを継続して、燃油費や整備費など供給連動費用削減を図るとし、人員配置見直しやコストマネジメント徹底化などによる固定費削減に取り組む考えを示した。

 

※写真=新型コロナウイルスは、かつてないほどのイベントリスクだと頭を抱える。堅調だった業績は第4四半期で急速に悪化した