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2020.05.03

ウイングトラベル

★JAL決算、新型コロナ影響で営業利益43%減

 過去最大のイベントリスク、手元流動性確保へ

 日本航空(JAL)が発表した2020年3月期通期連結決算は、今年1月以降感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の影響で、営業収益が前期比5.1%減の1兆4112億円、営業利益が42.9%減の1006億円、経常利益が38%減の1025億円、当期純利益が64.6%減の534億円と減収減益となった。1-3月期の業績悪化で、12月期までの増収増益から一転して減収減益決算となった。
 今も感染症収束の兆しが見えず、不透明感が増している。このため、今後の業績を見通すことが困難として、2021年度業績予測の発表を見送り、期末配当は無配当にすることを決めた。
 JALグループは、感染症拡大による入国規制および航空需要の急減速、さらには国内の緊急事態宣言による移動自粛などの影響で、直近の国際線運航を約95%減、国内線は約70%減とするなど、極めて甚大なマイナス影響を受けた。決算会見を行った菊山英樹専務は、同感染症の影響が「過去に航空業界が経験してきたことのないイベントリスク」と話し、深刻な状況をあらわにした。そのため緊急対応策として、これまでにも行ってきた柔軟な路線・便数の見直しを継続して、燃油費や整備費など供給連動費用削減を図るとし、人員配置見直しやコストマネジメント徹底化などによる固定費削減に取り組む考えを示した。
 さらに投資計画について、こちらも見直しを図るため、現計画のうち約500億円もの投資を抑制するとのこと。また十分な手元流動性を確保するため、前期第4四半期に行った577億円の資金調達に加え、この度さらに465億円の追加調達を実施したとのこと。合わせて1043億円の資金を確保したと明かした。その上で、菊山専務は万全を期すため、さらなる追加資金調達を行う考え。2020年度第1四半期中に調達するため、現在「金融機関と調整を行っているところ」だと話した。

 通期国際線収入10%減、3月旅客7割超の減に
 国内収入2.6%減、自粛など需要減で旅客急減