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IATA、感染防止対策で中央席の空席化推奨せず
空席化でコスト上昇、運賃は43%~54%上昇も
国際航空運送協会(IATA)が5月5日(ジュネーブ現地時間)、新型コロナウイルスの感染拡大防止で、機内におけるソーシャル・ディスタンス一部の航空会社各社で広がっている中央席を空席のままとして利用しない対策については、推奨しないとの立場を明らかにした。その一方、旅客のフェイスカバーやマスク着用義務については、感染拡大を防止するための重要なアプローチであるとして推奨した。
IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEOは「これまでの結果をみると、機内感染のリスクは低いことを示唆している」ことを強調。IATAによれば、旅客と乗員がフェイスカバーやマスクを着用することで、もともと低い感染リスクをさらに低減することができるとして、こうした対応を推奨。その一方、機内で中央席を空けて社会的距離の確保する試みについては、劇的にコストが上昇することへの懸念を示した。
IATAは中央席を空席化すれば、最大の搭乗率(L/F)は62%にまで抑えられ、世界では採算分岐点と言われる搭乗率77%を大きく下回ってしまうとして、航空輸送の経済原理を根本から変えることになると警鐘を鳴らす。・・・
機内感染例はわずか、客室環境が飛沫感染抑止に
中央席空けても50センチ未満の幅しか確保できず
機内感染のリスクは小さいとする主張についてIATAは、・・・
〈中央席を利用しない場合の航空運賃の上昇〉
■アフリカ・中東=搭乗率の採算分岐点:75%、2019年の平均運賃:181ドル、中央席を空席化した場合の航空運賃:259ドル、運賃の平均上昇率:43%
■アジア太平洋=搭乗率の採算分岐点:81%、2019年の平均運賃:141ドル、中央席を空席化した場合の航空運賃:217ドル、運賃の平均上昇率:54%
■欧州=搭乗率の採算分岐点:79%、2019年の平均運賃:135ドル、中央席を空席化した場合の航空運賃:201ドル、運賃の平均上昇率:49%
■ラテンアメリカ=搭乗率の採算分岐点:79%、2019年の平均運賃:146ドル、中央席を空席化した場合の航空運賃:219ドル、運賃の平均上昇率:50%
■北米=搭乗率の採算分岐点:75%、2019年の平均運賃:202ドル、中央席を空席化した場合の航空運賃:289ドル、運賃の平均上昇率:43%
■アジア北部=搭乗率の採算分岐点:76%、2019年の平均運賃:135ドル、中央席を空席化した場合の航空運賃:195ドル、運賃の平均上昇率:45%
※写真=IATAは中央席を空席とする対応を推奨しないとの立場を表明した。中央席を空席とすることでコストが増大し航空運賃が跳ね上がることなどを懸念(提供:IATA)