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2020.05.12

WING

三菱重工、M100開発のこれまでの検討作業「一旦見合わせ」

新型コロナがM90試験に影響、スケジュール精査中

 三菱重工の泉澤清次社長は5月11日に実施した決算会見で、正式ローンチに向けてフィージビリティースタディー中の70席級のスペースジェット「M100」(65席~88席)について、そのベース機となる「M90」の開発が新型コロナの影響を受けていることに触れつつ、「スケジュールの遅れは止むを得ない。航空業界はいま大きく変化しているし、今までの検討作業を一旦見合わせて、今後の進め方を再考する」と話し、一度立ち止まって開発スケジュールなどを再考する方針を明らかにした。
 泉澤社長が話すように、新型コロナ危機発生前後では、航空業界を取り巻く環境は大きく変わってしまった。スペースジェットの顧客である航空会社各社も、運休・減便が相次いだことで財務状態が急速に悪化して経営危機に直面。複数の航空会社が経営破綻したほか、人員およびフリートの削減など、規模縮小へと舵を取っており、新型機導入・発注をするような余裕はないことが現状。三菱重工としてもこうした環境を精査して、あらためてフィジビリティ―スタディー中の「M100」の開発スケジュールなどを見極めていく様相だ。
 いずれにしろ従来のMRJから生まれ変わった「スペースジェット」を発表した昨年のパリ航空ショーでは、「M100」型機の市場投入時期について、2023年頃を計画していることを明らかにしていたが、新型コロナの影響で、三菱重工および三菱航空機のこれまでの思惑に、大きな狂いが生じることになりそうだ。・・・

 

20年度事業利益、「ゼロ」予想
スペースジェット予算は「適正規模で」

 

Tier1事業、20年度売上は前年度比10~30%減
エンジンも35~55%減予想、緊急対策へ

 

※写真=フィージビリティ―スタディー中のスペースジェット「M100」の開発スケジュールなどは新型コロナの影響で激変した航空業界の環境を考慮して一旦立ち戻って再考することに。写真はM90の10号機(提供:三菱航空機)

※写真=型式証明取得のための最終形態である10号機は未だモーゼスレイクにフェリーできずにいる(提供:三菱航空機)