WING
JAXA山川理事長、「現時点で事業計画の大きな変更至らず」
リモート勤務定着で出勤者の最低7割削減など達成
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長は5月15日、ウェブ会議システムを通じて会見に臨み、新型コロナウイルス感染拡大防止下にあるなかで、「現時点では本年度のJAXA事業計画に大きな変更を要する事態には至っていない」との認識を示した。その上で、「引き続き国内外の状況を注視しつつ、感染拡大防止を再優先として、関係の皆様のご支援、ご理解を得ながら万全を期して進めていきたい」と話した。さらに、「新型コロナウイルスが収束せずに、緊急事態宣言が長期化した場合について、各事業への影響評価・対策についても、同時に検討を進めている」ことも明かした。
山川理事長は今年1月、「今年はJAXAの宇宙開発にとって、あるいは日本の宇宙開発にとって勝負の年になる」との考えを明かしていたが、蓋をあけてみると、新型コロナウイルスが世界的に流行し、JAXAとしてもウイルスの感染拡大防止で、制約あるなかでの運用を強いられる事態となってしまった。
山川理事長によれば、理事長を本部長とする新型コロナウイルス対策本部を2月18日に立ち上げ、「情報収集や役職員に対する情報提供、感染防止策の策定、事業継続計画(BCP)の策定、関係機関などとの連絡・調整を継続しており、リモート勤務環境の整備、イベントの自粛や見学施設の閉鎖などに段階的に取り組んできた」という。
「政府からに緊急事態宣言発出後は、対策本部で策定したBCPに従って、基本的に全事業所を閉鎖して、重要事業の継続に必要な最低限の人員のみを出勤可能としている」として、多くの役職員がリモートワークによる勤務を強いられていることを明かした。
もちろん、大規模なリモートワークの実施はJAXAにとって初めての試み。そのため「情報セキュリティーの維持などに苦労することもある」とのことだが、役職員が取り組みを進めたことで、「現状では、政府から求められている出勤者の最低7割削減を、JAXA全体として達成することができている」ことを明かした。
間近に迫る「こうのとり9号機」打ち上げ
重要ミッション達成向けて最善尽くす
種子島へのウイルス持ち込み防止策
種子島往来は最小限、入島後も14日間外出自粛
JAXA、NASAとESAと新型コロナ対策にソリューション
宇宙3機関でバーチャル・ハッカソン立ち上げへ
※写真=新型コロナ下におけるJAXAの事業計画に現時点では大きな影響は生じていない。間近に迫った「こうのとり9号機」の打ち上げは最低限の人員で行う。種子島への入島にも最新の注意を払っている。写真は種子島宇宙センターの射場から打ち上がるH-IIA40号機(提供:JAXA)